dice play

インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

日本で「貯蓄から投資へ」が進まないのは高齢化が進んでいるから?

 

前回の記事では、アメリカで「貯蓄から投資へ」が進んでいる一因は、アメリカには大富豪がぞろぞろいるためだと指摘しました。
アメリカの場合、起業→上場→大企業化→自社株が上昇→創業者が大富豪に、というパターンができあがっているのではないかと思います。それによって家計に占める株式等の比率が高いと考えられます。世界長者番付を見てもアメリカ人の創業者が多くランクインしています。

dice.hatenadiary.jp

 

さて、日本で「貯蓄から投資へ」が進まないのは高齢化が進んでいるからという指摘を見ました。高齢者はリスクを取れないから、日本ではむしろ「投資から貯蓄へ」と流れが逆行しても当然だと主張しています。

gentosha-go.com

 

そこで、本記事ではアメリカの"Distributional Financial Accounts" (DFA)と日本の「2019年全国家計構造調査」を用いて、日本で「貯蓄から投資へ」が進まないのは高齢化が進んでいるからなのか、確かめてみたいと思います。

 

アメリカの年齢別の金融資産構成

下図は、世帯主の年齢に基づき4つの区分(70歳以上、55~69歳、40~54歳、40歳未満)に分けて、アメリカの家計の金融資産の内訳を示します。(2019年9月末現在)

投資(=債券+投信・株式等)の比率は、世帯主が70歳以上の家計が最も多く、57%となりました。リスクがとれるはずの40歳未満は35%となり、4区分の中では最も投資の比率が低くなりました。

よって、アメリカは高齢者が比較的少ないために投資の比率が高いとは言えません。

現金・預金の比率をみると、70歳以上と40歳未満の世帯が多め、40~69歳の世帯が少なめです。
年金の比率は若い世代ほど多くなっています。


下図は、世帯数分布と金融資産総額について、世帯主の年齢別にみたものです。

世帯数分布をみると、40歳未満世帯が30%で、最も多くなっています。一方、70歳以上は最も少ないです。
金融資産の比率(=国全体の金融資産構成比を決めるウェイト)をみると、40歳未満世帯の金融資産は全世帯のわずか6%にすぎません。55~69歳世帯の金融資産は世帯数のわりに多く、また4つの世代で最も多くを占めています。

 

日本の年齢別の金融資産構成

下図は日本について、アメリカと同様に示した図です。(2019年10月末現在)*1

預金の比率はどの世代でも6割を超えています。特に40歳未満の世帯の預金の比率が高いです。70歳以上の現金比率も高めです。

高齢者が投資のリスクをとれず、預金の比率が高めというのは言えそうです。また、前回の記事で指摘した通り、株式会社を起業して大富豪になる人がアメリカより少ないために株式の比率が低くなるとも言えそうです。40歳未満の場合は、生活防衛資金を貯めるのが優先となるので、預金の比率が高いのではないでしょうか。

40~69歳の世帯は預金の比率が低い代わりに保険の比率が高いです。子育てやマイホームの関係で、生命保険に入っておくということかと思います。

 

世代別の世帯数分布をみると、70歳以上の世帯が最多、40歳未満の世帯が最少であり、アメリカと真逆です。日本が超高齢社会であることがデータに反映されています。

金融資産の比率は、70歳以上、55~69歳世帯が多くなっています。40歳未満の世帯の比率は6%であり、国全体の数字への影響はほとんどありません。(日米ともに世帯主が55~69歳である世帯が国全体の数字へ大きな影響を及ぼします。)

 

まとめ

アメリカでは家計の金融資産に占める投資の比率がどの世代でも3割を超えます。さらに、世帯主が高齢な世帯ほど投資の比率が高いです。
日本では預金の比率がどの世代でも6割を超えています。
加えて、日米ともに40歳未満の世帯における預金の比率は他の世帯よりも高めになります。
よって、高齢化の進み具合と家計における投資の比率にはあまり関係がないと考えます。

 

 

 

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*1:2019年全国家計構造調査 第4-4表「世帯の種類(3区分),世帯区分(4区分),世帯主の性別(3区分),世帯主の年齢階級(32区分),資産・負債の種類(42区分)別1世帯当たり資産現在高・負債現在高-全国」をもとに作図