dice play

インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

BDCに投資する方法(ARCCなど)

 

ARCC(エイリスキャピタル)などBDC(Business Development Company:事業開発会社)が高配当銘柄として一部の個人投資家に人気があったようです。
しかし、日本の法令の関係から*1、2023年5月現在三大ネット証券では購入できません。
現在は投資信託を通じてならBDCに投資は可能です。

 

目次

 

BDCはREITの非上場企業版

下図は「新・ミューズニッチ米国BDCファンド」の交付目論見書から引用してきた、BDCの概念図です。

BDCとREITの比較

BDCはREIT不動産投資信託)と似ていますが、投資対象が不動産ではなく中堅企業です。(多くは非上場企業)
BDC銘柄はVT, ACWIに含まれません。
VTのベンチマークであるFTSE指数の定義上、BDCは除外されています。*2
MSCI指数の定義上BDCは除外されていないようです*3が、ACWIは小型株を含まないので、銘柄の時価総額の小ささにより除外されているのかもしれません。

BDCの時価総額はS&P500のおよそ1000分の1です。*4

 

ミューズニッチ米国BDCファンド

www.nikkoam.com

設定日:2014年7月2日
信託期間:2029年5月21日まで
委託会社:日興アセットマネジメント
運用委託先:ミューズニッチ
総合経費率*5:2.16%
信託財産留保額:なし
ポートフォリオ配当利回り:11%(2023年4月末現在)

年2回決算型と毎月分配型があり、それぞれに為替ヘッジありとなしがあります。計4種類あります。

特化型運用を掲げており、1銘柄あたりの比率が10%を超えることがあります。
ポートフォリオ配当利回りは10%を超えます。(それだけハイリスクとも言えます。)

当ファンドには2016年に資金が集まりすぎたため、2017年1月から2020年5月まで販売停止になりました*6。そのため、「新・ミューズニッチ米国BDCファンド」を新たに立ち上げて資金を受け入れました。

新・ミューズニッチ米国BDCファンド

www.nikkoam.com

設定日:2017年2月3日
信託期間:2032年5月20日まで
委託会社:日興アセットマネジメント
運用委託先:ミューズニッチ
総合経費率:2.16%
信託財産留保額:なし
ポートフォリオ配当利回り:11%(2023年4月末現在)

年2回決算型と毎月分配型があり、それぞれに為替ヘッジありとなしの計4種類があります。
特化型運用です。(1銘柄あたりの比率が10%を超える可能性あり)

「ミューズニッチ米国BDCファンド」と同様ミューズニッチ社に運用を委託していますが、マザーファンドが違うため、値動きは微妙に違います。

信託期間が2032年と長いです。

 

米国ハイ・インカムBDCファンド(償還決定)

www.smd-am.co.jp

設定日:2013年11⽉29⽇
信託期間:2023年11⽉13⽇まで
委託会社:三井住友DSアセットマネジメント
運用委託先:アドバイザリー・リサーチ・インク
総合経費率:2.16%
信託財産留保額:なし
ポートフォリオ配当利回り:11%(2023年4月末現在)

毎月決算型と年1回決算型があります。
為替ヘッジなししかありません。
このファンドの最大のリスク要因は信託期間の終了が6か月後に迫っていることです。
直前になって信託期間を延長する可能性はありますが。
→(2023年10月16日追記)満期での償還が決定しました。

 

投資リスク

交付目論見書にはBDC特有のリスクが記載されていますので、よく読む必要があります。「新・ミューズニッチ米国BDCファンド」の交付目論見書から引用します。

BDCへの投資に伴なうリスク
・ファンドが保有するBDCの価格は、以下のBDCの投融資先企業に係るリスクにより下落する可能性があり、ファンドの基準価額が下落する要因となります。
・BDCは、主に中堅企業等への投融資から得られる利益等を収益としています。これらの投融資先企業には未公開企業が多く、入手できる公開情報が少ないことがあり、結果として、BDCがリスクの高い投融資をすることにより、場合によっては、投融資先企業が倒産する可能性があり、その投資金および債権を回収できないリスクがあります。
・BDCの投融資先企業は、その事業活動や財務状況等により十分な資金調達をすることができないことがあり、そのことがさらなる財務状況等の悪化をもたらす結果、BDCがその投融資にかかる債権を回収できないリスクがあります。
・BDCの投融資先企業の発行株式は、その事業活動や財務状況等によりその価格が下落するリスクがあります。
・BDCがその投融資のために金融機関等から借入れを行なう場合、借入金利の上昇によりBDCの投融資に係るコストが増加し、当該投融資がもたらす利益に悪影響を及ぼす結果、ファンドに重大な損失が生じるリスクがあります。

 

集中投資リスク
・当ファンドは、一銘柄あたりの組入比率が高くなる場合があり、より多数の銘柄に分散投資した場合に比べて基準価額の変動が大きくなる可能性があります。

 

費用

超マニアックな投資対象なので、費用がかさみます。3ファンドとも2.16%かかります。うち運用の外注費に0.65~0.75%、販売会社報酬に0.70~0.75%かかります。

BDC関連投信の費用

基準価額の推移

下図は3ファンドの分配金再投資基準価額の推移です。(いずれも為替ヘッジなし)

2020年2月~3月のコロナショックではわずか1か月で約55%下落し、約1年かけて元に戻しました。

「新・ミューズニッチ米国BDCファンド」(灰色の線)の運用がさえないです。(今後の信託期間は一番長いのですが…。)

ボラティリティは24%程度あります。SPY(SPDR S&P500 ETF)のボラティリティは22%です(配当込み、円換算)。株式並みに激しい値動きです。

また、「新・ミューズニッチ米国BDCファンド」と円換算SPY相関係数は0.63と、やや高いです。

BDC関連投信の分配金再投資基準価額の推移

上位組入銘柄

BDC関連投信の組入上位10銘柄は下表のとおり(空欄は組入比率不明)。
インデックスETFであるBIZDと組入比率がかなり違い、特色を出そうとしていることがわかります。

BDC関連投信の組入上位10銘柄

まとめ

BDCはREITの中堅企業版といった趣のある存在です。
アメリカの非上場企業に間接的に投資できる魅力があります。
VTやACWIといった全世界株式インデックスファンドでは投資できない対象です。
BDCの時価総額はS&P500のおよそ1000分の1にすぎないので、ぜひともポートフォリオに組み入れるべきとは言えず、組み入れるにしてもスパイス程度(少量)にしたいところです。
BDCの個別銘柄への投資は日本の法令上難しく、投資信託を間に挟む必要があります。

BDC投信は3種類ほどあり、ポートフォリオ配当利回りは10%を超えます。
それだけハイリスクな投資になっていると言えます。
投資信託の分配金利回りが必ずしもポートフォリオ配当利回りと同じにはならないことに注意が必要です。

総合経費率はいずれも2.16%と高いです。
ボラティリティは24%程度で、株式並みに高く、コロナショックでは基準価額が半値になりました。

今後の信託期間の長さと過去のパフォーマンスを考慮すると、「ミューズニッチ米国BDCファンド」がましな選択肢に思えます。

 

 

 

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*1:各BDC銘柄が「外国投資法人に関する届出」を日本の金融庁に提出しないと日本の証券会社では買い付けできない。

*2:"The following are regarded as ineligible for inclusion:
Limited Liability Partnerships (LLP), Limited Partnerships (LP), Master Limited Partnerships (MLP), Limited Liability Companies (LLC) and Business Development Companies (BDC)."
FTSE Global Equity Index Series Ground Rules v12.1, February 2023

*3:"Limited partnerships, limited liability companies, and business trusts, which are listed in the USA and are not structured to be taxed as limited partnerships, are likewise eligible for inclusion in the Equity Universe."
MSCI Global Investable Market Indexes Methodology, May 2023

*4:2023年3月末現在の時価総額は、S&P500指数が36 tUSD、S&P BDC指数が51 bUSD

*5:当サイトでは、交付運用報告書の総経費率に、売買委託手数料および有価
証券取引税を年率換算して加算した値を「総合経費率」と呼んでいます。

*6:https://www.nikkoam.com/files/lists/news/2020/news0529_01.pdf