dice play

インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

時価総額に忠実なポートフォリオ

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ペーパーアセット(有価証券)への投資にあたって、ポートフォリオ(資産配分)をどうするかは尽きない悩みです。
時価総額が一つの参考になると思うので、調べてみました。

代表的な指数の時価総額

2021年3月末現在の代表的な指数の時価総額は下表の通りです。(単位:兆米ドル)

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ペーパーアセットの時価総額(2021年3月末現在 単位:兆米ドル)

(出典)
FTSE, MSCI, 野村證券, みずほ銀行, CoinMarketCapの資料をもとに筆者作成

指数の説明

FTSE Global All Cap Indexは先進国と新興国の大中小型株を対象とする株価指数です。
この指数をベンチマークとしている商品はVanguard Total World Stock ETF (VT)や「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(通称「楽天VT」)です。

MSCI ACWIは先進国と新興国の大中型株を対象とする株価指数です。
この指数をベンチマークとしている商品は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や「たわらノーロード 全世界株式」です。

MSCI Frontier and Emerging Markets Select Indexはフロンティア国と時価総額の小さい新興国株価指数です。
クウェートベトナム、モロッコなどが組み入れられています。
iShares MSCI Frontier and Select EM ETF (FM)のベンチマークです。

FTSE World Broad Investment-Grade Bond Index (WorldBIG)は世界の投資適格債券を対象とする時価総額加重平均指数です。
国債が半分、社債などが残り半分という内訳になっています。
FTSE WorldBIGをベンチマークとするファンドはたぶんないと思います。

FTSE World Government Bond Index (WGBI)は、FTSE WorldBIGのうち自国通貨建て国債のみを対象とする指数です。
日本を除く指数は「先進国債券インデックスファンド」でよく使われます。

NOMURA-BPIは日本国内で発行された債券を対象とする指数です。
国債だけでなく社債サムライ債(外国の機関が円建てで発行した債券)なども対象とします。
内訳を見ると国債が8割を占め、残りは社債などです。
「国内債券インデックスファンド」でよく使われる指数です。

FTSE US High-Yield Market Indexはアメリカのハイイールド社債(がらくた債、投機的格付け社債)を対象とする債券指数です。

表の補足説明

金や原油のようなコモディティは本表に含めていません。
原油農畜産物のようにいずれ消費されてしまう商品に時価総額の概念は当てはまらないと思ったためです。
いちおう金の時価総額は約11兆米ドルという推定値があります。(2021年4月18日現在。CompaniesMarketCap調べ
ただ、工業用途も含まれ、すべてが市場に出回るわけではないと思われます。

また、新興国債券インデックスファンドでよく使われる指数も含まれていません。
新興国とみなされているポーランド、マレーシア、メキシコが表中のFTSE WGBI(FTSE世界国債インデックス)にすでに含まれているためです。
さらに2021年10月からは中国をWGBIに組み入れることが決定しているほか、今後インドとサウジアラビアの組み入れを検討していくとしています。
jp.reuters.com

FTSE WGBI ex. Japan(FTSE世界国債インデックス(日本除く))をベンチマークとするインデックスファンドを「先進国債券インデックスファンド」と名付けていることが多いのですが、実態は新興国を含むので、「外国債券インデックスファンド」と言った方が適切です。

さらに、REIT不動産投資信託)も表には含まれていません。
MSCI ACWIやFTSE Global All Cap Indexにすでに含まれているためです。

時価総額に忠実なポートフォリオ

米国ETFを使用

もし米国ETFを使って、時価総額に忠実なポートフォリオを組むと下の円グラフのようになります。

全世界株式で6割、全世界債券で4割となります。

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時価総額に忠実なポートフォリオ(米国ETFを使用)

BND(Vanguard Total Bond Market ETF)、BNDX(Vanguard Total International
Bond ETF)、JNK(SPDR Bloomberg Barclays High Yield Bond ETF)はFTSEではなくBloomberg Barclaysの指数をベンチマークにしているのですが、Bloomberg Barclaysの指数の時価総額がわからなかったので、FTSEの指数で代用しています。

ビットコイン(図中BTC)は、日本から投資できるETFがまだ出ていないので、買うならbitFlyerなどの暗号資産取引所に口座を開設する必要があります。

VTは国内籍投信の楽天VTで代用可能です。同様にBND+BNDXは「楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド」、JNKは「Funds-i フォーカス ⽶国ハイ・イールド債券」で代用可能です。

フロンティア株、ハイイールド債、ビットコインといった、時価総額のシェアが1%以下の資産は組み入れなくても全体のパフォーマンスに影響はないでしょう。

国内籍投信を使用

もし代表的な国内籍投信を使って、時価総額に忠実なポートフォリオを組むと下の円グラフのようになります。

全世界株式が7割、国内債券が1割、外国債券が2割という配分です。

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時価総額に忠実なポートフォリオ(国内籍投信を使用)

eMAXIS Slimや「たわらノーロード」シリーズなら実現可能です。
上の円グラフ(米国ETF中心のポートフォリオ)との違いは、指数の違い(小型株、海外の社債等を含まない)、1%以下の資産(ハイイールド債など)が除かれていることです。

ポートフォリオの3~4割を債券に投資すべきか?

以前は株式と債券の両方を組み入れるのが分散投資の基本と言われてきました。

しかし、近年はポートフォリオに債券を組み入れるべきではないという意見がよく聞かれます。
現在は歴史的な低金利であり、今後金利が上昇すると債券の価格が下がるというのが理由です。
youtu.be
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www.pictet.co.jp
media.rakuten-sec.net

債券インデックスファンドの代用として定期預金や個人向け国債で十分という意見もよく聞きます。

まとめ

ペーパーアセットの時価総額を調べたところ、指数により異なるものの全世界株式が6~7割、全世界債券が3~4割を占めることがわかりました。
フロンティア株、ハイイールド債、ビットコインはそれぞれ時価総額のシェアが1%以下でしたので、これらの資産を組み入れなくても全体のパフォーマンスに影響はないでしょう。
債券をポートフォリオ時価総額通り組み入れるのは現在の局面では適切か慎重な検討が必要です。
金の時価総額については今後もう少し情報収集していきたいと思います。