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インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

債券ETFのまとめ(米国ETF)

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SBI証券の外国株式口座で買える債券ETFをまとめました。同社では多種多様なETFを取り扱っており、全体像を把握するのが難しいです。ETF同士で投資対象に重複があるのかもなかなか理解しがたいです。網羅的なまとめが見あたらなかったため、記事にします。

楽天証券マネックス証券で取り扱っているかは調べていないものの、おそらく品揃えに大きな差はないだろうと思います。

 

ごちゃごちゃしてわかりにくくなってしまったのですが、各債券ETFの投資対象は下図の通りです。

債券ETFのまとめ(米国ETF

図は地域、発行体、残存年数で区分しています。

 

目次

 

図の読み方

発行体による区分

まず、発行体による区分について説明します。国が発行する債券(国債)、企業が発行する債券(社債)に大別されます。

国債はさらに固定利付債(普通の債券)かそうでないかで分けています。

固定利付国債全体に投資できるETFとしてGOVTがありますが、SBI証券では取り扱いがないため、図には入れていません。SBI証券では特定の残存年数のETF(残存年数3年以上10年未満のSPTIなど)を扱っています。したがって、これらを組み合わせることになります。GOVTの組入銘柄の残存年数がどうなっているかが参考になりそうです。2022年2月時点だとGOVTには残存年数3年以上10年未満の国債が46%、20年超が19%組み入れられているので、SPTIとTLTをその比率で持てばGOVTに近い動きになるでしょう。

国債には、固定利付だけでなく、物価に連動するETF(VTIPとTIP)やSTRIPS債のETF(EDV)があります。

政府機関の欄についてはMBS住宅ローン担保証券)のETF(MBBとVMBS)を記載しています。MBSは住宅ローンを証券化したもので、アメリカの政府機関が債務の保証をしています。

社債は発行体の信用力により細分化ができます。格付け会社により破綻しにくいと判断された企業が発行する債券を「投資適格社債」といいます。アメリカの投資適格社債で最も投資対象が幅広いのはUSIGというETFです。
破綻リスクが相対的に高い企業が発行する債券を「ジャンク債」「ハイイールド債」「低格付け債」などといいます。格付けは
AAA、AA、A、BBB、BB、B、CCC、CC、C、D
というランクになっていることが多く、BBB以上が投資適格、BB以下が投機的とされます。

また、少し毛色が異なりますが、転換社債(条件によっては株式に転換される社債)、優先証券(議決権のない代わりに普通株式より弁済順位の高い証券)も図に加えてあります。
アメリカの債券を投資対象とするETFは多種多様です。国債にだけ投資するETF、投資適格社債にだけ投資するETF、両方に投資するETFがあります。

 

残存年数による区分

次に、残存年数(償還されるまでの年数)による区分を説明します。アメリカの債券に関しては残存年数別にETFが設定されているため、図に描いています。

ブルームバーグ債券指数では、残存年数が1年未満を「短期債」、1年以上10年未満を「中期債」、10年以上を「長期債」と呼んでいます。

図中「残存年数」が「0」と書かれているところは残存年数1年未満を意味します。「1」は1年以上2年未満、「2」は2年以上3年未満、……です。
図の左上で「VTIP(0-5)」と書かれていますが、これはETFのティッカーがVTIPで、残存年数が0年以上5年未満の債券を投資対象としていることを意味します。そのため、グレーの帯が残存期間「0」から「4」にかかるように描かれています。
「TIP(1+)」はETFのティッカーがTIPで、残存年数が1年以上を意味します。残存年数が何年未満と特に決まっていないので、TIPには残存年数が20年を超える債券も組み入れられています。

アメリカの固定利付き国債に投資するETFには、残存年数1年以上3年未満のSHY, SPTS, VGSH、3年以上10年未満のSPTIとVGIT、7年以上10年未満のIEF、10年以上のSPTLとVGLT、20年以上のTLTがあります。

アメリカの投資適格社債に投資するETFも残存年数別に細かく分かれており、1年以上10年未満のSPIB、10年以上のSPLBとVCLTなどがあります。
2022年11月よりJPSTが取引できるようになりました。JPSTはアメリカの1年未満の投資適格社債に投資するETFです。JPSTはアクティブファンドで、経費率は0.18%です。

アメリカの国債と投資適格社債の両方に投資するETFにはBSV(残存年数1年以上5年未満)、BIV(5年以上10年未満)、BLV(10年以上)があります。なお、この3つのETFアメリカ以外の国債でも米ドル建てでかつ投資適格(BBB以上)であれば投資対象となります。(図にはうまく描けていません。)

 

地域による区分

地域はアメリカ、その他の先進国、新興国で分けています。

アメリカを投資対象とするETFの種類が多く、図が込み入っています。アメリカ全体をカバーするETFとしてはAGG、BND、SPABの三種類があります。これらのETFは固定利付きで残存期間が1年以上の投資適格となる債券を投資対象とします。国債だけでなく政府機関や社債にも投資します。アメリカ以外の国債でも米ドル建てでかつ投資適格(BBB以上)であれば投資対象となります。
AGG、BND、SPABが投資対象としないのは物価連動国債、STRIPS債、残存年数1年未満の債券、ジャンク債などです。

アメリカ以外の地域全体をカバーするETFとしては、BNDXがあります。BNDXは現地通貨建ての投資適格な債券を組み入れます。国債だけでなく社債も対象です。

BNDとBNDXを時価総額に応じて組み入れたBNDWというETFがあるのですが、SBI証券では取り扱っていません。代わりに「楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド」でもBNDWと同等な投資成果が得られます。BNDとBNDXの配分比率を考える上でBNDWは参考になります。

アメリカ以外の国債(現地通貨建て、投資適格)に投資するETFとしてはBWXがあります。さらに先進国(アメリカ以外)の国債ETFであるIGOV、新興国国債ETFであるEBNDとLEMBがあります。

EMBとVWOBは米ドル建ての新興国国債に投資するETFです。このETFは投資適格と投機的格付けの両方の国債を含みます。投資適格の格付けを得ている国が米ドル建てで発行する国債はAGG、BND、SPAB、BSV、BIV、BLVにも組み入れられます。一方、投機的格付けの新興国が発行する国債はBNDにもBNDXにも組み入れられません。

アメリカ以外の国のジャンク社債に投資するETFとして、IHYとHYEMがあります。HYEMは新興国に限定している一方、IHYは先進国、新興国の両方をカバーしています。

 

まとめ

以上、細かい話が続きましたが、結局BNDとBNDXを持てば概ね債券への国際分散投資ができます。「楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド」でも同等な投資成果が得られます。

さらに分散を徹底させるなら、TIP(アメリカの物価連動国債)、JNKかHYG(アメリカのジャンク社債)、IHY(アメリカ以外のジャンク社債)が候補に挙がります。

もし債券に何らかの見通しがある場合は残存年数や発行体、地域のウェイトを市場平均(BND/BNDX)からずらしてみるという使い方もできるかもしれません。

 

アメリカの政策金利がもうすぐ上がるという今の地合で債券に投資するべきではないという考え方も聞きます。政策金利が上がると短期債、中期債の利回りも上昇(価格は下落)しやすいという理由からです。投資は慎重に。

 

更新履歴

2022年2月20日:初版公開
2022年11月26日:JPST(アメリカの残存年数1年未満の投資適格社債に投資するアクティブETF)を追加
2023年10月17日:CLIP(残存年数1年未満の米国債に投資するインデックスETF)を追加

 

筆者のおすすめ記事

東証に上場している債券ETFのまとめ記事もあります。*1

dice.hatenadiary.jp

 

 

 

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*1:2022年12月11日追記