2022年に相場に起きたことをまとめます。これは誰かが言ったことの受け売りにすぎず、独自性はありません。数年後に思い出せるように書き留めておくものです。
目次
物価上昇
アメリカがコロナ対策として2020年から巨額の財政出動をしたために、ドルの価値が薄まったことによって、2021年になってアメリカの物価が急上昇したと言われています。
下図の上段は、アメリカの消費者物価指数(コア)の前年同月比を5年分示します。2020年までは2%にも達しなかったのに、2021年から2%を超えてぐんぐん上昇しています。
下段はFRB(米連邦準備銀行)の総資産を示します。2020年3月から2022年4月までは急上昇しています。
金利上昇
物価上昇に歯止めをかけるため、アメリカは政策金利を2022年3月から上げ始めます。ふつうは0.25%ずつ上げるところ、4回連続で0.75%上げる強烈な引き締めを行い、2022年末時点で4.5%に達しました。また、2022年5月からはFRBの総資産も減らし始めました。金融緩和局面から金融引き締め局面への転換です。
下図の青線は米政策金利(翌日物金利)、オレンジ線は2年物米国債金利、黄緑線は10年物米国債金利を示します。
2年物、10年物の金利が政策金利よりも先に上がり始めたため、市場参加者は政策金利の上昇を見越して動いていたのではないかと思います。
通常、年限の長い債券ほど金利が高くなりますが、逆転現象が2022年7月から続いています。2年物国債の利回りが10年物国債の利回りより高くなる、逆イールド現象は景気後退の前兆と言われています。
株価下落
下図の青線はVT(全世界株式ETF。ドル建て。分配金再投資価格)、オレンジ線はVTI(全米株式ETF)の推移です。
2022年3月に始まったアメリカの金融引き締めに先行して、アメリカ株は2022年初から下げはじめました。VTの6割はアメリカですので、全世界株式も同様に下落しました。
VTは一年間に17%下落しました。
2021年はレバナス*1が大盛り上がりでした。今振り返ってみれば、2021年末が天井で、そこから1年間で62%も下落しました。
債券下落
下図の青線はBNDW(全世界債券ETF。米ドルヘッジ米ドル建て。分配金再投資価格)、オレンジ線はBND(アメリカ債券ETF)の推移です。
金利上昇は債券価格下落を意味します。アメリカの債券は2021年は横ばいでしたが、2022年は下落します。BNDWの5割はアメリカですので、全世界債券も同様に下落しました。
BNDWは一年間に12%下落しました。
商品上昇
下図の青線はDJP(商品総合ETN。米ドル建て)、オレンジ線はOILUSA.USD(原油ETF。「UBS原油先物ファンド」の原資産。米ドル建て)、黄緑線はIAU(純金ETF)の推移です。
商品全般は2022年5月までは上昇したものの、その後下落基調でした。値動きが原油に似ています。純金は3月まで上昇、10月まで下落、その後上昇となり、横ばいと言えるかと思います。
DJPは一年間に16%上昇しました。
ビットコイン暴落
ビットコインは2020年11月から暴騰していましたが、暴騰前の水準に戻ってしまいました。金利の上昇によりハイテク株が嫌気され、ビットコインもつられて下がったと言われています。
ビットコインは一年間に62%下落しました。
「悪い円安」
2021年3月から急に円安ドル高に転じました。2021年初は1ドル103円だったのですが、10月に一時150円まで円安になりました。2021年末には131円と、少し戻していますが、年初よりは円安に傾いています。
一年間で円はドルに対して13%安くなりました。
円安になった理由は日米金利差が開いたからだと言われています。下図の下段はアメリカ10年国債利回りから日本の10年国債利回りを引き算した値ですが、確かに2022年3月から金利差が開いたのと呼応して円安に進んでいます。一方、11月には金利差が縮小し始め、円安に歯止めがかかった形です。アメリカの物価上昇率が落ち着き始めたかもしれないという情報が持たらされた時期と円安が止まった時期が呼応します。財務省が為替介入に踏み切ったのもこの時期です。
メディアでは「悪い円安」と呼んでいました。日本の国力が落ちたから円安になったのだと騒ぎ立てていました。2023年は「良い円高」になると良いですね。
株式と債券はドル建てでは大きく値下がりしましたが、円安ドル高により、円建てではさほど下がらずに済みました。
社会情勢
2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻し、2022年末時点でも戦闘は続いています。「NEXT FUNDS ロシア株式指数連動型上場投信」(1324)は売買停止になりました。
まとめ
2021年は金融相場でしたが、2022年は逆金融相場だったように思います。株式、債券ともに下落し、苦しい相場でした。しかし、ドル高円安により日銀に救われた一年でもありました。2023年はどんな相場になるのでしょうか。
2021年の振り返り記事
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