債券が叩き売られている
「楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド」が2022年に入り、大きく値下がりしています。2021年末と比べて8.7%の値下がりです。このファンドのボラティリティは4.0%*1です。値下がり率がボラティリティの2倍を超えるため、このファンドにとっては大きな下落です。
「楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド」とは
「楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド」は、全然注目されないファンド*2なので、簡単に説明します。
一般的な債券インデックスファンドは日本と海外どちらかに投資するものが多く、両方に投資するファンドはなかなかありません。また、海外債券インデックスファンドは社債を投資対象としないことが多いです。
「楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド」は、日本を含む世界の債券に投資し、海外の投資適格社債も含みます。稀有な特長を持つファンドだと私は思っています。
アメリカに上場しているBNDW (Vanguard Total World Bond ETF)に近い商品設計となっています。
最終利回りと平均クーポンの推移
月報にポートフォリオの特性値が掲載されています。最終利回りと平均クーポンの値を過去に遡って拾って、作図してみました。直近1か月の月報しか載せない投信会社もありますが、楽天投信は設定来の月報も手に入るので、ありがたいです。
最終利回りとクーポンについて
クーポンは債券発行時の利率になります。
債券は発行後に市場で売買されており、発行時とは違う価格で売買されることがあります。利回りはクーポンに加えて売買の損益も加味した値です。
最終利回りは債券を満期まで持ち続けた場合の利回りとなります。
例えば、元本が1年後に返済され、元本100円につき3円の利子がつく債券が発行された場合、クーポンは3%となります。
発行直後にこの債券を150円で買った場合、最終利回りは2%になります。
詳しくはこちらを参照。
2020/10/22 BASE~投資の基本~ 債券編① <北根久之>|Pictet Theatre Live - YouTube
最終利回りと平均クーポンが逆転
上記の図で、「楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド」の最終利回りと平均クーポンの推移を見てみます。
2019年1月末から2022年1月末までは、最終利回りは平均クーポンより小さい値になっていました。つまり、ポートフォリオに組み入れられていた債券の多くは、発行時の価格より高い価格で取引されていたということです。
しかし、2022年2月末時点で最終利回りが平均クーポンと同じになり、3月末、4月末では最終利回りと平均クーポンの大小関係が逆転し、最終利回りのほうが大きくなりました。
つまり、足元ではポートフォリオに組み入れられている債券の多くは、発行時の価格より安い価格で取引されているということです。
逆転した背景
債券の価格が上がると利回りが下がります。(価格が下がると利回りが上がります。)
アメリカが政策金利(翌日物金利)を上げています。とすると、より長い年限の債券の利回りも上がるだろう、であれば価格も下がるだろうと市場参加者は予想しているのかもしれません。
政策金利を上げ始めたのは2022年3月ですが、市場参加者は先回りして売っているのではないかと思います。
「楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド」の4割はアメリカの債券です。
最終利回りと平均クーポンが逆転したので、債券の割高感は薄れたと思います。ただ、債券を買うタイミングとしては今が良いとは思っておらず、政策金利を上げるのをやめる時期か、または政策金利を下げるようになる時期を待とうと思っています。
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