2021年投資の振り返り
寒中お見舞い申し上げます。
2021年の相場を振り返ってみると原油価格の高騰がキーワードだったと思います。
下図は2020年末から2021年末にかけての主な資産の価格推移を示します。
凡例 | 年間騰落率 | ボラティリティ | シャープレシオ | 全世界株式との相関係数 |
全世界株式 | +33% | 13% | 2.2 | - |
全世界債券 | -3% | 3% | -0.9 | -0.26 |
商品 | +46% | 16% | 2.3 | +0.53 |
ドル円 | +11% | 5% | 1.9 | +0.44 |
ビットコイン | +88% | 88% | 0.7 | +0.19 |
凡例 | 出所 |
全世界株式 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の基準価額 |
全世界債券 | 楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンドの基準価額 |
商品 | SMTAMコモディティ・オープンの基準価額 |
ドル円 | みずほ銀行TTM |
ビットコイン | bitFlyer取引所終値 |
全世界株式は一年で33%も上昇しました。株式の期待リターンは4%程度とよく言われるため、2021年は異常な一年でした。また、20%程度のボラティリティを見ておくべきところ、2021年実績は13%(筆者推計)だったのも低かったです。JP Morgan Asset Managementは"2022 Long-Term Capital Market Assumptions"において、円ベースの世界株式(為替ヘッジなし)の期待リターンは3.30%、年率ボラティリティは19.24%という長期(10-15年)見通しを示しています。
内訳を見るとVTI(全米株)がACWI(全世界株)を上回り、VEA(アメリカを除く先進国株)、VWO(新興国株)がACWIを下回りました。図には示していませんが、IEV(欧州株)はACWI並み、EWJ(日本株)はACWIを下回りました。
アメリカ株を業種別ETFで区切って見ると、VDE(エネルギー株)がVTI(全米株)を大きくアウトパフォームしました。他にVTIを上回ったセクターはVNQ(不動産)、VFH(金融)、VGT(情報技術)、VAW(素材)、VCR(一般消費財)でした。
一方、VTIを下回ったセクターはVOX(コミュニケーションサービス)、VPU(公益事業)、VDC(生活必需品)、VHT(ヘルスケア)、VIS(資本財)でした。
全世界債券(為替ヘッジあり)は3%下落しました。楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンドの月報によると、最終利回りは2020年末現在0.7%だったのが、2021年10月末現在で1.2%に上昇しました。このファンドの4割はアメリカの債券です。2022年はアメリカの中央銀行が金利を利上げする見込みなので、このファンドの基準価額も下がるかもしれません。
為替ヘッジなしの外国国債インデックスファンドは、円安の影響を受けてプラスでした。例えば、eMAXIS Slim 先進国債券インデックスは+4%でした。
商品(コモディティ)は46%上昇し、全世界株式を上回りました。今年の春にウッドショック(木材価格の高騰)、秋に原油価格の高騰がメディアで盛んに取り上げられていました。手元の計算では年率ボラティリティは16%でした。大きく上下することなく、するすると上昇したことがうかがえます。
内訳を見るとエネルギー(AIGE)が上昇を牽引しました。工業用金属(AIGI)と農産物(AIGA)は商品全体(AIGC)とほぼ同等の動きでした。貴金属(AIGP)と畜産物(AIGL)はぱっとしませんでした。
米ドル円は11%上昇しました。ほぼ一本調子で上昇した印象です。外貨預金などで為替差益が出ている方もいるでしょう。ボラティリティは5%でした。
ビットコインは88%上昇しました。1月から4月半ばにかけて大きく上昇し、ビットコインを持たざるリスクが言われ始めました。どこどこの機関投資家がポートフォリオにビットコインを組み入れ始めたというニュースを見聞きしました。しかし4月下旬に大きく値を下げ、そのような話はとんと聞かなくなりました。10月に大きく上昇しましたが、話題になったのでしょうか。ボラティリティは88%ととても高く、シャープレシオは0.7でした。
「ビットコインは通貨じゃなくてデジタルゴールドだ。」と広瀬隆雄氏が言っていた記憶があります。値動きが激しくて通貨としては役に立たないが、純金のように株式とは違った値動きが期待できる代替資産としては使えるという趣旨と理解しています。「1ビットコイン(500万円)という値札のついた車が翌月になったら、1.5ビットコインになっていた。でも日本円では変わらず500万円だった。」なんてことが起こりうるわけで、それだったら価格の安定している日本円で決済しようと思うでしょう。仮想通貨が暗号資産と呼ばれるようになったのはそういうことだと理解しています。
全世界株式の期待リターンを4%をボラティリティを20%と想定すると、シャープレシオは0.2になります。ドル円は基本横ばい(期待リターン0)と想定するとシャープレシオは0です。2021年の全世界株式のシャープレシオは2.2、商品は2.3、ドル円は1.9でした。とてもできすぎな成績でした。
2021年、全世界株式指数と商品指数は異常に上昇した。この背景には原油価格の高騰があるとまとめたいと思います。
なお、一個人投資家の稚拙な調べ物ですので、真に受けないようにお願いします。
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