dice play

インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

Tracers MSCI オール・カントリー・インデックス(全世界株式)が登場予定。費用は0.16%程度か。

 

2023年4月26日(水)に日興アセットマネジメントが「Tracers MSCI オール・カントリー・インデックス(全世界株式)」を設定することが明らかになりました。

financial.jiji.com

早速「トレカン」というあだ名がつきましたので、以下そう呼びます。
トレカンはMSCI ACWIへの連動を目指します。
このファンドは税込信託報酬が0.05775%であり、Vanguard Total World Stock ETF (VT)の総経費率0.07%をも下回る安さで、SNSは騒然となりました。
しかし、トレカンは指数の使用料などが別途0.1%以内かかることがわかり、これも併せると、費用は0.16%程度になると私はみています。

 

目次

 

競合ファンドとの費用の比較

  • トレカン

税込信託報酬 0.05775%
(内訳:販売会社0.0175%、委託会社0.0175%、受託会社0.0175%、消費税0.00525%)

その他費用 0.1%以内

合計 0.15775%以内(実際にはさらに費用がかかると思われます。)

 

税込信託報酬 0.1133%(2023年4月7日より)
(内訳:販売会社0.05%、委託会社0.033%、受託会社0.02%、消費税0.0103%)

総合経費率 0.25%*1 

 

税込信託報酬 0.11325%(2023年5月11日より)
(内訳:販売会社0.0415%、委託会社0.0413%~0.0415%、受託会社0.02%、消費税0.0103%)

総合経費率 0.17%

 

トレカンの安さのカラク

トレカンで信託報酬とは別にかかる費用は下記の12種類あります。*2

  1. 計理業務
  2. 振替受益権、受益証券の発行・管理
  3. 有価証券届出書、有価証券報告書、半期報告書および臨時報告書の作成、印刷および提出
  4. 目論見書の作成、印刷および交付
  5. 信託約款の作成、印刷および交付
  6. 運用報告書の作成、印刷および交付
  7. 受益者への公告ならびに信託約款の変更または信託契約の解約に係る事項を記載した書面の作成、印刷および交付
  8. 格付の取得
  9. ファンドの監査人、法律顧問および税務顧問に対する報酬
  10. 指数の使用料
  11. 指数や市場動向等の情報の入手
  12. クリアリング機構の利用料

日興アセットマネジメントが運用している類似ファンドに「インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)」があります。
MSCI Kokusai指数*3への連動を目指すファンドです。
このファンドは上記12種類の費用を請求目論見書に記載していません。
もっとも、このファンドの運用会社の信託報酬は0.29%あるので、目論見書の作成などの費用を信託報酬から支出する余裕があると考えられます。

さて、このように一部の費用を信託報酬とは別枠とするのが不適切かと言うと、そうとは言い切れません。
日興アセットマネジメントが運用している類似ETF「上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本」(1554)があります。
このETFの請求目論見書を読むと、上記12項目のうち、1~10番までは記載されています。
そうすると、トレカンは、非上場の投信では一般的ではないがETFでは行われている費用の計上方法を採用したと言えそうです。

 

商品性

日本株式部分については、MSCI Japan指数への連動を目指すマザーファンドを新たに立ち上げるようです。
日興アセットマネジメントは2015年までMSCI Japan指数のETFを運用していましたので、ノウハウをお持ちだろうと思います。

投資信託はどれも商品名が長いですね。「たわらノーロード全世界株式」くらい短くてもいいんじゃないかと思います。

Tracersシリーズには「Tracers グローバル2倍株(地球コンプリート)」というファンドもありますので、お間違えのないよう。
地球コンプリートは為替ヘッジ付き先進国株式ETFを資金の2倍買い建てたのに近い値動きをします。

 

おわりに

トレカンは信託報酬の異常な安さで注目を集めています。
安さのカラクリは、指数使用料や目論見書の作成費用などを信託報酬とは別途徴収するという、ETFで使われている費用の計上の手法を利用したのだとわかりました。
運用報告書が出たらオルカンやたわらとあまり変わらない総経費率が記載されているという状況が起きそうです。

私は設定当初にお試しで少額買ってみて、1年後に公表される運用報告書を確認して、買い増しをするか検討したいと思います。

私は保有ファンドをどれか一本に決め打ちする必要はないと考えていて、トレカンもオルカンも両方保有し続ける可能性があります。

 

 

 

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*1:運用報告書の総経費率に売買委託手数料、 有価証券取引税を加算した値を私は勝手に「総合経費率」と呼んでいます。

*2:EDINETに掲載された有価証券届出書より。文言は端折ったりしています。

*3:海外の先進国株式指数。MSCI ACWIの資産配分の8割が重複します。