FXで為替ヘッジ?
ある米国株が上がりそうだが、同時に米ドル安円高も進みそうだと思うとき、為替ヘッジをしたくなります。
為替ヘッジありの投資信託が選べればそれに越したことはないですが、ないときは妥協(為替変動を受け入れる、別の投資対象を探すなど)せざるを得なくなります。
そこでFXにより為替ヘッジができないか検討してみます。
方法
FXで外貨を売り円を買うポジションを建てることで、為替ヘッジをします。ドル円の場合スワップポイントの支払いが生じるので、これが為替ヘッジコストに相当します。
計算手順は次の通りです。
くりっく365(取引所FX)で時系列データをダウンロードします。
スワップポイントを月ごとに集計します。
次式で年換算の為替ヘッジコストを推計します。
(一ヶ月合計のスワップポイント)/{(月初の始値)*10000}*12
これは、月初にドル円を売り建て、月末にポジションを解消する状態を表していると思います。(FX未経験なので、少々自信のないところです。)
結果
下図の通りとなりました。
計算がおかしくないか確認します。大和アセットマネジメントはは毎月為替ヘッジコストをマーケットレターとして公表しています。
J.P.モルガンのGuide to the Markets, Japan, 4Q 2020, p.51にも為替ヘッジコストがあります。
取引所FX特有の要素による差異もあるかもしれませんが、傾向は大体同じようにみえます。以降、自作のグラフを見ていきます。
2005~2007年まで為替ヘッジコストは3%を超えていましたが、2008年に急激に降下し一時マイナス(ヘッジするとお金がもらえる状態)になりました。2009~2016年はヘッジコストがほぼ0%でした。リーマンショックを受けてFRBが利下げしたからでしょうね。2016~2018年にかけて徐々にコストが上昇し、3%近くなりました。FRBの利上げでしょう。2020年に入りコロナショックでコストは急減し、足下では0.5%前後といったところです。
ダイワのレポートによれば、四半期末になると企業の輸出⼊代⾦などの決済のため、一時的にヘッジコストが上昇する傾向があるとのことです。2016、2017、2019年の12月で大きく跳ね上がっているのは、これで説明できそうです。
次に、暦年単位のグラフを示します。
計算式は先に示したものとほとんど変わりませんが、次の通りです。
(一年間の累計スワップポイント)/{(年初の始値)*10000}
ユーロ
最後にユーロ円の為替ヘッジコストを示して、この記事を終わります。
ユーロは円よりも低金利なので、2012年以降為替ヘッジコストがかからないばかりか、ヘッジプレミアム(お金がもらえる)が生じます。