dice play

インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

2022年5月のMSCI Japan指数の構成銘柄の入れ替えの影響

インデックスファンドの隠れコストとして、指数の構成銘柄の入れ替えが指摘されます。2022年5月に日本株22銘柄がMSCI Japan指数から除外されました。これらの銘柄がMSCI Japan指数に占める割合は小さく、今回の銘柄除外が指数を下押しする影響はほとんどなかったとわかりました。

 

 

一般的に、指数算出会社は指数の構成銘柄の入れ替えを実行する数週間前にどの銘柄を入れ替えるかを発表します。インデックスファンドが準備できるようにするためです。これを利用して、先回りして売買する投資家がいます。例えば、指数から除外される銘柄が発表されると、アクティブ投資家が空売りを仕掛けます。インデックスファンドが指定された期日に銘柄を売ると、まとまった金額が売りに出るので、株価の下落要因になります。インデックスファンドが売ったのを確認して、アクティブ投資家が買い戻して差益を得るという構図です。

media.rakuten-sec.net

 

MSCIは2022年5月13日(日本時間朝6時ごろ)、日本株22銘柄をMSCI Japan指数から除外すると発表しました。除外は5月31日に実行されました。除外された銘柄にはローソンやライオンなど、一般消費者にもなじみのある企業も含まれます。

kabushiki.jp

 

MSCI Japan指数に連動するETFとして、iShares MSCI Japan ETF (EWJ)があります。これを分析に使います。

www.blackrock.com

 

除外される22銘柄の時価総額、存続する238銘柄の時価総額、それからEWJの基準価額の推移を下図に示します。時価総額は筆者推計です。銘柄入れ替えが発表される直前である5月12日終値を100としています。また、銘柄入れ替えの発表と実行の節目にグレーの縦線を引いておきました。

除外銘柄群と存続銘柄群の推移

オレンジ線はEWJの基準価額を示します。銘柄入れ替えの発表以降上昇基調にあり、入れ替え終了後に下落しています。銘柄入れ替えの影響が強ければ、銘柄入れ替えの発表から実行までの間は下落基調になるはずですが、そうなっていません。よって、EWJは銘柄入れ替えとは別の要因で動いていたことになります。

青線は除外銘柄群(除外される22銘柄の時価総額)を表しています。銘柄入れ替えの発表後数日は下落基調です。オレンジの線(EWJの基準価額)よりも劣後していることから、セオリー通りに動いています。しかし、入れ替え実行日である5月31日前後は上昇基調であり、かつ入れ替え発表前より高くなっており、セオリー通りとなっていません。
黄色の線は存続銘柄群(入れ替え後も存続する238銘柄の時価総額)を表しています。オレンジの線(EWJの基準価額)に隠れて見えません。銘柄入れ替えの影響が強ければ、黄色の線はオレンジの線を下回るはずですが、そうはなっていません。

2022年4月末現在、除外される22銘柄がEWJに占める割合はわずか1.4%でした。したがって、セオリー通り除外銘柄群が下落基調をたどったとしてもEWJの基準価額にはほとんど影響がありません。さらに、前述の通り、セオリーとは違う、別の要因で株価が動いていたことがわかります。

 

除外される22銘柄の個別の株価を下図に示します。銘柄入れ替えが発表される直前である5月12日終値を100としています。発表後上がる銘柄もあれば下がる銘柄もあり、はっきりとした傾向がみられません。

除外銘柄の個別の株価

 

以上より、2022年5月のMSCI Japan指数の銘柄入れ替えの影響は無視できるほど小さかったと言えます。ただし、これは今回に限った話であって、一般に成り立つ話ではないことにご注意ください。

MSCI Japan指数はTOPIX日経平均株価ほど有名な指数でないことも影響しているかもしれません。S&P500のような有名な指数ではどうなるか、今後余力があれば検討してみたいと思います。

 

 

 

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