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インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

投信の運用報告書の不思議ー総経費率ー

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投資信託の運用報告書には「1万口当たりの費用明細」という表と「総経費率」という円グラフがあります。表と円グラフとで合計の数字が合わないことがあり、不思議に思ったことがあります。注を慎重に読んだところ、カラクリはこうでした。

項目 1万口当たりの費用明細 総経費率
信託報酬
募集手数料 ×
売買委託手数料 ×
有価証券取引税 ×
その他費用
投資先ファンドの運用管理費用 ×

○は記載される、×は記載されないという意味です。
「その他費用」はさらに、保管費用、監査費用、その他に分かれます。(ファンドによっては「印刷費用」なる項目を立てている場合も。)
「投資先ファンドの運用管理費用」はFund of Funds形式の投資信託のみ該当する項目です。

つまり、費用の合計は「総経費率」の合計値に「1万口あたりの費用明細」の「比率」に示される募集手数料、売買委託手数料、有価証券取引税を足した値となります。(「1万口あたりの費用明細」の「比率」欄の合計値に「総経費率」の「投資先ファンドの運用管理費用」を足すという計算でもよい。)

(余談ですが、私は「募集手数料」の記載された運用報告書を見たことがないです。)

なお、運用報告書の「当期」(報告の対象となる期間)が1年でないときがあります。第1期のように数か月で決算を迎えたり、毎月分配型投信だったりしたときです。この場合、「1万口あたりの費用明細」の値をそのまま使うことはできません。正しい方法かわかりませんが、私は「1万口あたりの費用明細」の値を当期の日数で割り、365日を乗じて簡易的に年率換算しています。

さて、「1万口当たりの費用明細」と「総経費率」で記載される費用の項目がまちまちなのはなぜでしょうか。

答えは投信協会のウェブサイトにありました。

「総経費率(エクスペンス・レシオ)の算出に当たり、米欧においては、売買委託手数料や有価証券取引税等の所謂トランザクションコストを含まずに開示がなされていると認識しております。一部の外国投信の損益計算書の費用明細中にトランザクションコストが含まれることがありますが、エクスペンス・レシオの算出においてはトランザクションコストが控除される取扱いになっているものと認識しています。一方、従来の一万口当たりの費用明細につきまして、株式売買手数料も含め、総経費率に含まれないものも開示していることから、若干の重複感はございますが、欧米諸国とも比較可能となる取り組みの一環として、ご理解いただければ幸いです。」
「投資信託及び投資法人に係る運用報告書等に関する規則」等の一部改正に関する意見募集の結果について - 投資信託協会


日本の投資信託の運用報告書は、米欧では開示されていない費用まで開示されており、非常に透明性が高いです。



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