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インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

ハイイールド債ETFのまとめ

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一般的な債券インデックスファンドはハイイールド債を組み入れません。NOMURA-BPI, FTSE WGBI, Bloomberg Global Aggregateなどの債券指数がハイイールド債を対象外としているためです。一般的な債券インデックスファンドにトッピングとしてハイイールド債ETFを加えることを分散投資の一環として検討してみます。

ハイイールド債とは

ハイイールド債券を直訳すると高利回り債券です。高い利回りの源泉は信用リスクを取っていることです。信用リスクとは債券の発行体の経営破綻によって元利金が投資家に支払われない危険性のことです。信用リスクの一例として、中国不動産大手の中国恒大集団(China Evergrande Group)が債券の金利の支払いを期限までにできなかったという最近のニュースが挙げられます。ハイイールド債は投機的格付けの債券を指します。(一方、信用リスクの相対的に低い債券は投資適格債券と呼ばれます。)ハイイールド債はジャンク債(がらくた債)とも呼ばれます。

個々のハイイールド債券を買うと信用リスクを直接受けてしまいますが、ETFであれば多数の債券に分散しているので、数社のデフォルト(債務不履行)だったら全体への影響は薄められます。


アメリカのハイイールド社債

アメリカのハイイールド社債に投資するETFとしては、外国株式口座で買えるHYGとJNKがあります。アメリカの市場でドル建てで発行される先進国の社債が対象です。アメリカ企業が多数を占めますが、アメリカ以外の企業も少し含まれます。例えば、HYGもJNKも楽天の債券を組み入れています。

HYG系

HYG

名称:iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF
連動目標:Markit iBoxx USD Liquid High Yield Index
経費率:0.48%
設定日:2007年4月4日

iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF

 

東証に類似のETFもあります。

1497 iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF(為替ヘッジあり)
信託報酬:税込0.638%程度
上場費用・商標使用料:税込0.033%以内
HYGの経費率も別途かかります。

iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF(為替ヘッジあり)

このETFはHYGを買い、為替ヘッジ(ドル売り円買いのポジションを建てる)します。

投信で類似のものもあります。

iシェアーズ ハイイールド債券インデックス・ファンド
信託報酬:税込0.2585%
ETFの経費率:0.5%程度
信託財産留保額:なし

iシェアーズ ハイイールド債券インデックス・ファンド

こちらはロンドン上場のETFを買うだけのファンドですが、そのETFはHYGとほとんど変わりません。為替ヘッジはかけません。

 

外国株式口座でHYGを買うのが保有時のコストは一番安いですが、売買に手数料がかかります。投信の売買手数料がかからないのであれば、HYGを数年で売ってしまうと、投信に手数料負けしてしまいます。

 

JNK系

次に、JNKを紹介します。
名称:SPDR Bloomberg Barclays High Yield Bond ETF
連動目標:Bloomberg US High Yield Very Liquid Index
経費率:0.40%
設定日:2007年11月28日

JNK: SPDR® ブルームバーグ・バークレイズ・ハイ・イールド債券ETF

ティッカーはJunk bondに由来していると思われます。

 

同様の指数への連動を目指す投信を野村が出しています。

Funds-i Focus 米国ハイ・イールド債券
信託報酬:0.88%(税込)
信託財産留保額:0.2%
為替ヘッジなし
野村インデックスファンド・米国ハイ・イールド債券 | ファンズアイ

為替ヘッジあり
野村インデックスファンド・米国ハイ・イールド債券・為替ヘッジ型 | ファンズアイ


こちらはマザーファンドを通して債券を保有する仕組みになっています。iSharesの投信と違って間にETFをかませない方式です。
為替ヘッジありとなしの両方があるので、為替ヘッジに対する考え方が変わったときに乗り換えが容易と思います。

HYGとJNKの違い

HYGとJNKにほとんど違いはありません。分配金再投資価格はほとんど同じ動きをしますし、組み入れ銘柄の8割は重複しています。(2021年9月末現在)

 

国際ハイイールド社債

IHYは米ドル、カナダドルイギリスポンド、ユーロ建ての世界の低格付け債(ただしアメリカ企業を除く)を投資対象とするアメリカ上場ETFです。新興国の企業も含みます。ティッカーのIHYはInternational High Yieldの略と考えると覚えやすいでしょう。

名称:VanEck International High Yield Bond ETF
連動目標:ICE BofA Global ex-US Issuers High Yield Constrained Index
経費率:0.40%
設定日:2012/04/02

IHY - VanEck International High Yield Bond ETF | Overview | VanEck

 

新興国ハイイールド社債

HYEMは新興国企業が米ドル建てで発行した低格付け債を投資対象とするETFです。ティッカーのHYEMはHigh Yield Emerging Marketsの略と考えると覚えやすいでしょう。

名称:VanEck Emerging Markets High Yield Bond ETF
連動目標:ICE BofA Diversified High Yield US Emerging Markets Corporate Plus Index
経費率:0.40%
設定日:2012/05/08

HYEM - Emerging Markets High Yield Bond ETF | Overview | VanEck

 

HYG、IHY、HYEMの重複

HYGとIHYは組み入れ銘柄が一部重複します。アメリカ以外の先進国企業(例:楽天)から米ドル建てで発行された債券が該当します。これがHYGの13%程度、IHYの17%程度を占めます。

また、IHYとHYEMとで組み入れ銘柄が一部重複します。新興国企業から米ドル建てで発行された債券が該当します。これが、IHYの39%(HYEMの52%)を占めます。

注:重複の度合いは銘柄数ではなく純資産総額に対する比率(2021年9月末現在)

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ハイイールド債ETFの組入銘柄の重複状況(2021年9月末現在)

USD:米ドル、EUR:ユーロ、GBPイギリスポンド、CAD:カナダドル

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ハイイールド債ETFの価格推移

注:1段目は分配金再投資価格。2段目はJNKとHYGの12か月相関係数。3段目はJNKとIHYの12か月相関係数。4段目はJNKとHYEMの12か月相関係数

なお、IHYとHYEMのかぶり具合のパーセンテージはそれなりに正確だと思うのですが、HYGとIHYは正確性に欠けます。IHYとHYEMどちらにも組入銘柄一覧にFIGIコードが記載されていて重複を特定しやすい一方で、HYGにはISINコードが振られており、FIGIコードとISINコードの対応関係を特定できなかったためです。

 

私はこの重複度合いがわからなかったので、当初JNK、IHY、HYEMを同じ金額購入していたのですが、HYEMの過半数がIHYに組み入れられており、IHYとHYEMのかぶりがまあまあ大きいと感じたので、HYEMを売りました。

JNKとHYEMとはまったくかぶらないと理解していますので、IHYを売ってJNKとHYEMだけを持つという手もありました。しかし、HYEMは新興国に特化している一方、IHYはユーロ建てなど様々な通貨にも分散しているため、IHYを保有し続けることにしました。

 

まとめ

HYGとJNKは米ドル建ての先進国企業のハイイールド債(ジャンク債)を投資対象とするETF。HYGはMarkitの、JNKはBloombergの指数が連動目標。両者は純資産総額の8割に相当する銘柄が重複しており、ほとんど差異はありません。類似の投資信託も販売されているので、外国株式口座での取引は必ずしも必要としません。

IHYはアメリカを除く世界の低格付け債を投資対象とするETF。HYEMは新興国企業の低格付け債を投資対象とするETF。HYGとIHYは一部に投資対象の重複あり。IHYとHYEMも重複あり。

分散投資の一環として、一般的な債券インデックスファンドにトッピングとしてこれらのハイイールド債ETFを加えてみてもいいかもしれません。

 

 

 

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