債権と債券のちがい
「債券」と名の付く投資信託はあっても、「債権」と名の付く投資信託はありません。「債権」と「債券」の違いを調べてみました。
目次
「債権」と「債券」
特定の人に何かを請求する権利を「債権」(obligation)と言います。
貸したお金を返してもらえる権利や、売掛金を回収する権利などが「債権」に含まれます。
債権の中でもお金を借りることを英語ではloan(ローン)と言い、貸し手は銀行などの金融機関です。
「債券」は国や企業などがお金を借りるときに発行する証券、いわば借用書のようなものです。
英語でbondと言うことがあり、お金を貸すのは投資家です。
債務証券と表記されることもあります。*1
債権を他の投資家に容易に売却できるようにしたものが債券、と言えるかもしれません。
「債権」に投資するファンド
アメリカでは、銀行が担保を条件に企業にお金を貸し、貸したお金を返してもらう権利を投資家に転売しています。これを「バンクローン」と言います。
市場に出回っているバンクローンは、投機的格付けの企業が発行、担保付き、変動金利という特徴があります。
日本の証券会社ではバンクローンに投資するインデックスファンドを販売していないようですが、アクティブファンドはいくつか扱っています。
- Invesco Senior Loan ETF (BKLN)
インデックスETF
ベンチマーク:Morningstar LSTA US Leveraged Loan 100 Index
日本の証券会社では取り扱いなし
経費率:0.65% - SPDR® ブラックストーン・シニアローンETF (SRLN)
アクティブETF
経費率:0.70% - First Trust Senior Loan Fund (FTSL)
アクティブETF
経費率:0.86%
これら3つの米国ETFのパフォーマンスを比べると、経費率の高いFTSLが一番よく、次いでSRLNとなり、インデックスファンドであるBKLNは一番悪くなっています。
市場が小さく非効率で、アクティブ運用が勝ちやすいのかなと推測します。
バンクローン市場の売買高が乏しいためか、ETFからの資金流出に備えて純資産の1割程度は現金などで保有しています。
ウエルスアドバイザー(旧モーニングスター)などの投信比較サイトにて「バンクローン」で検索をかけると、バンクローンに投資する非上場の投信がヒットします。
ただ、どれも信託報酬が1%を超えるため、魅力はありません。
通貨カバード・コール戦略や通貨選択型を組み合わせたファンドもありますが、これらは邪道です。
ちなみに以下の4ファンドはいずれも実質的な投資対象が「ピムコ バミューダ バンクローン ファンド(M)」ですので、値動きはほとんど一緒です。
- 日興-ピムコUSハイインカム・ローン・ファンド(毎月分配型)
- 三菱UFJ国際-米国バンクローンファンド(愛称:USストリーム)
- 三菱UFJ国際-三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ(愛称:スマートスター)
- 三菱UFJ国際-PIMCO 米国バンクローンファンド
これらの投信の目論見書には「バンクローン(貸付債権)」と書かれており、債券とは書かれていません。
「債権」の証券化商品
アメリカでは、多数の住宅ローンの案件を束ねて証券化した「MBS(不動産担保証券)」というものが市場で取引されています。
MBSへ投資できるETFはいくつかあります。(いずれも指数連動型)
- iシェアーズ 米国政府系機関ジニーメイMBS ETF(為替ヘッジあり)(2649)
ベンチマーク:ブルームバーグ米国GNMAインデックス TTM(為替ヘッジ有り、円ベース)
信託報酬(税込):0.1375% - iシェアーズ 米国 MBS ETF(MBB)
ベンチマーク:Bloomberg US Mortgage Backed Securities Index
経費率:0.04% - Vanguard Mortgage-Backed Securities ETF (VMBS)
ベンチマーク:Bloomberg U.S. MBS Float Adjusted Index
経費率:0.04%
MBSの発行体は3つほどある*3のですが、東証上場の2649がジニーメイ(GNMA)に限定している理由は定かではありません。
日本でも、住宅ローンで有名な「フラット35」をMBSに仕立てて販売されています。*4
「債券」に投資するファンド
国が発行する債券を国債、企業が発行する債券を社債と言います。
これまでみてきたバンクローンやMBSに比べると、債券の市場規模は大きく、「債券」に投資するファンドは多数あります。
まとめ
「債券ファンドを持っている」と書けば、投信を通じて国債や社債などに投資しているという意味になります。
「債権ファンドを持っている」と書けば、投信を通じてバンクローンに投資しているという意味に受け取られる可能性があります。
(今回の記事は私の理解力の限界を攻めているため、他の記事と比べて間違いが多いかもしれません。ご容赦いただければ幸いです。)
参考資料
ファイナンシャルスター「バンクローンのポイントについてバンクローン・オープンを例に解説」
ファイナンシャルスター「債券市場の全体像【債券の種類を一覧で分かりやすく紹介】」