中国大手不動産会社「中国恒大集団」（China Evergrande Group）が経営危機に瀕しており、債務不履行が懸念されています。
これによりここ一週間の株式相場の波乱要因となりました。下図に同社の株価推移を示します。
GPIF（年金積立金管理運用独立行政法人）はインデックス運用などで恒大集団を総資産の0.005%組み入れています。（2021年3月末現在）
主なインデックスファンド・ETFに恒大集団がどの程度組み入れられているか調べてみました。
全世界株式
iシェアーズ MSCI ACWI ETF (ACWI)は先進国および新興国の大型および中型株式で構成される指数と同等の投資成果を目指しています。
「eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）」と投資方針は類似しています。
ACWI ETFの資産総額に対する恒大集団の組入比率は以下の通り。
2020/12/31 0.006%
2021/06/30 0.004%
2021/08/31 0.002%
2021/09/23 0.001%
元々組入比率は小さかったのですが、株価の下落に合わせて日に日に比率を落としています。
債券
「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」など、外国債券インデックスファンドの多くはFTSE WGBIをベンチマークにしています。FTSE WGBIは国債を対象としているため、恒大集団の社債は組み入れません。
アメリカ上場ETFであるBND, BNDX, JNK, HYGは社債を組み入れていますが、恒大集団は含まれませんでした。（2021年9月23日現在の保有銘柄一覧表より）
BNDはアメリカの国債と投資適格社債を組み入れているVanguard Total Bond Market ETF、
BNDXは世界（アメリカを除く）の国債と投資適格社債を組み入れているVanguard Total International Bond ETF、
JNKは米ドル建ての低格付け債券（ジャンク債、ハイイールド債）を組み入れているSPDR Bloomberg Barclays High Yield Bond ETFです。
HYGは米ドル建ての低格付け債券を組み入れているiシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETFで、東証上場の1497 ETFとほぼ同等です。
一方、IHYとHYEMは恒大集団を組み入れています。
IHYは米国企業以外の低格付け債券を組み入れているVanEck International High Yield Bond ETFです。
HYEMは米ドル建て新興国低格付け債を組み入れているVanEck Emerging Markets High Yield Bond ETFです。
組入比率は以下の通り。
IHY 0.24%
HYEM 0.28%
（2021年9月23日現在の保有銘柄一覧表より）
まとめ
経営危機に陥っている中国大手不動産会社「中国恒大集団」（China Evergrande Group）が主なインデックスファンド・ETFにどの程度組み入れられているか調べてみました。
株式については、ACWI ETF（全世界株式）の0.01%未満に過ぎませんでした。
恒大集団の債券は低格付け債（投資不適格）なので、低格付け債を組み入れる金融商品を積極的に選ばない限りは恒大集団の社債に投資していないことになります。低格付け債に投資するIHYやHYEMでも恒大集団の組入比率は現在0.3%未満です。
よって、中国恒大集団の経営危機がインデックス投資へ及ぼす直接的な影響は無視できるほど小さいです。
ただし、関連する企業が連鎖的に経営危機に陥るのでは、という市場の懸念により、インデックスファンド・ETFが下がることは大いにあり得ます。
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