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インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

自分だけは損したくない人の投資心理学

大江英樹氏の講演「自分だけは損したくない人の投資心理学 第2回」を見ました。

youtu.be

 

講演スライドはこちらから入手可能です。

【ネット開催!】株式投資アカデミー~投資の第一歩を学ぶ 第2回~ | 勉強会 | 楽天証券

以下は、感想文です。

 

30:18 投資も投機も市場にとっては不可欠で相互依存

投機家は投資家に対して換金しやすい環境を提供しているので、投機家を悪者と決めつけてはいけないという話でした。

投機家の典型的な例はETFのマーケットメーカーでしょう。高速取引業者が瞬時にETFの売買の相手になるから、ETFの市場価格が適正値(基準価額)に収れんしていくわけです。

また、スライドには「投資は投機に対して収益機会を提供する」とも書かれていました。

指数に新たに採用される銘柄は、実際に組み入れられる日より前に発表されます。発表すると直ちにその銘柄は値上がりしてしまうため、インデックスファンドは組み入れ日に割高な価格で買わざるをえない。これはインデックス投資家が支払っている隠れコストだという指摘があります。これは「投資は投機に対して収益機会を提供する」一例でしょう。

また、インデックス投資とアクティブ投資も相互依存関係にあるのかもしれません。インデックス投資家が証券を継続的に保有すれば値崩れを防ぎ、継続的に買い増していけば長期的な上昇に資する。ファンダメンタル分析に基づくアクティブ投資家は材料を消化して売買することで妥当な値付けをする。テクニカル分析に基づくアクティブ投資家はモメンタムを作る。

「アクティブファンドの多くはインデックスファンドに勝てない。アクティブファンドなんか買うやつはバカだ。インデックスしか勝たん。」と言わんばかりの論調を時折見かけます。しかし、相互依存の関係があるのだとすると、インデックス投資のみが正しい戦略という考えは一面的です。

一方、市場を動かしているのは何百億円、何千億円の資産を運用する機関投資家であって、個人投資家はかないません。一億円に達した個人投資家が億り人と賞賛されるのですから、規模が違います。個人が個別株やアクティブファンドを買ってもいいと思いますが、市場への影響は微々たるものです。(ゲームストップ株現象のように個人投資家が結託してすごい力を発揮する場面もあるにはあるが。)


36:25 リスクとリターンの勘違い

ハイリスク・ハイリターンは「リスクの高い物はリターンも高い」という意味ではなく「高いリターンを望むと必ずリスクは高くなる」という意味というお話。

ハイリスク・ローリターンもありうるよ、ということですね。講演にはありませんでしたが、ローリスク・ハイリターンは詐欺でしょう。図にするとこうなります。

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リスク・リターンの関係図(その1)

 

講演でリスク・リターンの正しいイメージ図が出てきました。軸の説明を補足すると下図のようになります。

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リスク・リターンの関係図(その2)

 

47:05 変動商品に○%複利という考え方はなじまない

スライドに「増加した分を分配せず、さらに再投資することで投下資金を増やすことが複利の意味」と書かれていました。これは、ETFで分配金をすぐに使ってしまうか、証券口座に放置するか、再投資するかで比べるとわかりやすいと思います。

下図は「NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信」(1306)について、

  • 基準価額(分配金をすぐに使ってしまうことに相当)
  • 分配金受取(分配金を証券口座に放置することに相当)
  • 分配金再投資(分配金でETFを買い増すのに相当)

それぞれの場合を示します。(設定当初に1口買った場合の資産の時価

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配当再投資の影響

直近(2022年)を見ると、
基準価額<分配金受取<分配金再投資
となっており、分配金を再投資した効果(すなわち投下資金を増やした効果)が見て取れます。

しかし、2012年を見ると、
基準価額<分配金再投資<分配金受取
となっており、2007~2008年の価格の下落がいわばマイナスの複利として効いたことが見て取れます。(投下資金を増やした効果で分配金受取よりパフォーマンスが悪くなっている。)

定期預金や個別債券のように利回りが固定なら、複利は「雪だるま式に増えていく」という理解で合っていると思います。
一方、株式は利回りが不確定なので、雪だるま式に増えていくわけではない。複利は右肩上がりのチャートを意味しません。

株式においては複利は時間軸をそろえるために使うものだと私は捉えています。例えば、
(A)3年で15%上がる
(B)5年で20%上がる
どっちがパフォーマンスが良かったのか比べたいとき、15%より20%のほうが大きいので、ぱっと見Bのほうがよさそうです。しかし、複利計算によって1年のパフォーマンスに引き直す(年率換算)と、Aは4.8%、Bは3.7%なので、Aのほうがよい。



 

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