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インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

資本主義は地球環境を守れない?

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ダイヤモンドZAi2021年7月号で「人新世の『資本論』」の著者斎藤幸平氏の対談記事が掲載されていました。

diamond.jp

個人投資家としていろいろつっこみたくなることが書いてありました。

 

斎藤 『気候変動や環境問題を解決しつつ、経済成長も達成する』というのは夢物語です。

1960年代に日本で公害が問題になりましたが、成長を捨てて環境を重視したかというとそんなことはありませんでした。法的規制で環境を保護するよう企業を誘導しつつも、環境を破壊した企業を廃業に追い込むまではしなかったのが歴史です。ただし、大気汚染問題や水質汚濁問題は排ガス・排水の浄化設備を設置するという具体的な解決策があったものの、気候変動問題についてはまだ技術が未熟だという点は異なります。

 

斎藤 今の市場や企業の性格を変えないといけません。例えば労働者も株主になって意思を経営に反映させるシステム(中略)といったルールはすぐにでも実現可能です。

まるでまだ実現していないような言い方ですが、従業員持ち株会ですでに実現しています。また、インサイダー取引に当たらない範囲で労働者が株を持つ(資本家の端くれになる)ことは今でも可能です。

一方、今の市場の性格に問題がないとはいえません。東京ガスが「総分配性向6割」の看板を下ろして脱炭素投資を増やそうとしたところ、株価が下がったというのは残念なニュースです。

www.nikkei.com

 

ザイ 最後に投資家であるザイ読者にメッセージをいただけませんか。
斎藤 (中略)投資判断として単に『儲かりそう』という基準だけではなく、海外ではすでに盛んなダイベストメント*1を意識することです。具体的には化石燃料の会社に投資しないとか、火力発電に投資した会社の株は手放すとかです。

確かにダイベストメントは一つの手法です。しかし、環境保護上問題だと思う企業の株を持ち、株主提案権を行使するというやり方もあります。投資資金を引き揚げるよりは、投資した上で経営者に関わるほうが、より建設的だと思います。

エクソンモービル(XOM)の気候変動対策が手ぬるいと考えた新興の投資会社「エンジン・ナンバーワン」が、再生可能エネルギーに詳しい人物などを取締役として推薦し、結果として選任されたというニュースがあったばかりです。

www3.nhk.or.jp


今月予定されている三菱UFJフィナンシャル・グループMUFG)と関西電力株主総会では気候変動に関する株主提案が審議されます。何パーセントの賛成票を集められるか注目です。

【プレスリリース】三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)へ気候変動に関する株主提案を提出(2021年3月29日) | 地球温暖化防止に取り組むNPO/NGO 気候ネットワーク

京都市:関西電力株式会社に対する株主提案議案の提出について


MUFGに提案した気候ネットワークという環境NGOは、昨年みずほフィナンシャルグループに株主提案を出しました。反対多数で否決されたものの、34.5%の賛成を集めました。
機関投資家ごとの賛否が公開されているのですが、自称インデックス投資家の私からすると、興味深いです。ETFの大手3社では、ステートストリートが賛成、バンガードとブラックロックが反対。野村アセットマネジメント、ニッセイアセットマネジメントが賛成しました。三菱UFJ国際投信、 三井住友トラスト・アセットマネジメントは反対。

提案を受けた当事者であるみずほFGの取締役会は株主に対して反対を推奨したのですが、みずほFGの子会社であるアセットマネジメントOneは賛成に回っています。親会社だからといって忖度せず、独立した判断を行った勇気をたたえたいと思います。

【プレスリリース】 みずほFGへの株主提案の議決結果について (第2次集計)(2021年1月21日) | 地球温暖化防止に取り組むNPO/NGO 気候ネットワーク

 


斎藤氏が株に投資しているのか知りませんが、株を買ってこうした株主提案に乗っかってみるとか、ご自身が株主として何か提案すると、思索の深みが増すのではないでしょうか。

資本主義にできることはまだあると思います。

 


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*1:インベストメント(投資)の反対で資金を引き揚げること