日本経済新聞に「証券税務調査にマイナンバー 未提供でも口座ひも付け」という記事がありました。
まとめるとこんなところです。
- 個人が証券会社にマイナンバーをまだ届け出ていない場合、2021年末までに証券会社がほふりを通してマイナンバーを取得する。
- 本来は2018年末までに届け出る必要があったのに、4割ほどしか登録が済まなかったことから、ほふりを使う制度が導入された。
- マイナンバーのひも付けにより税務調査が厳しくなるかも。
- 預貯金口座では利子所得が源泉徴収され、確定申告はしないので、マイナンバーのひもづけは今のところ任意だが、いずれ義務化するかも。
証券口座へのマイナンバーのひも付けは、税務当局にとっては脱税を簡単に見つけられるという利益がある一方で、納税者にとっては不利益しかありません。納税者はマイナンバーを届け出る手間をかけさせられますし、届け出たら脱税を疑われやすくなります。
ほふりを使って強制的にマイナンバーを収集するというのは感じ悪いです。
納税者がマイナンバーの届け出をしたくなる仕組みを考えてほしかったです。
例えば、複数の証券会社に特定口座を持っている場合、現在は確定申告しないと特定口座間の損益通算ができません。もしマイナンバーを届け出ると、毎年末に特定口座同士で損益通算が自動でなされ、納め過ぎなら翌年の初めに還付されると便利です。こういう仕組みが導入されると、マイナンバーを届け出る動機付けが働いたと思います。マイナポイントをばらまいている場合ではありません。
それから、記事では預金口座では確定申告が必要な所得は生じないような書きぶりですが、外貨預金の為替差損益は確定申告が必要です。しかし、為替差損益の計算方法は法令で決まっていません。特に外貨償還特約付預金はよくわかりません。もし預金口座にもマイナンバーの届け出を義務づけるならば、為替差損益の計算方法を所得税法施行令で定めるべきです。それを怠ると「特にルールはないけど税金払え。」と税務当局は言ってくるでしょう。
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