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インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

みずほ銀行のATM障害の教訓

2月28日(日)にみずほ銀行でシステム障害が起き、一時みずほ銀行ATMの過半数が停止してしまいました。キャッシュカードや通帳がATMに飲み込まれてしまった方もおられたようです。日曜日で人手が足りなかったこともあり、飲み込まれてしまったカードなどの返却といったフォローが行き届かなかったようです。コロナ禍のため用件を短時間で済ませたかったのに、カードが返却されるまで何時間も待った預金者もおられたようです。

 

途上国に旅行に行く際はATMにカードが吸い込まれてしまうことがあるとは聞いていましたが、まさか日本で起きるとは思いもよりませんでした。

当初「定期預金のデータ移行作業」が障害の原因という説明でした。

www.itmedia.co.jp

私はこの説明に違和感を持ちました。定期預金には年中誰かしら預け入れているので、2月末に起きる理由としては弱いと思いました。また「移行」という言い回しも、何か引っかかるものがありました。

2月下旬から3月上旬にかけて進めていた、紙の通帳の強制的な廃止とデジタル通帳への移行が原因だろうと思いました。3月4日になって、デジタル通帳が原因であると報道され、やっぱりそうだったかと合点がいきました。

www.jiji.com

給料日の直後にあたる月末に定期預金を組む人が多く、そんな時期を狙ってシステムメンテナンスをぶつけるなんて考えられないという業界関係者の感想も報道で目にしました。

www.nikkei.com


私は金融業界の人間ではないので銀行の内部事情はわからないものの、みずほの行員の思考回路を推し量ると、デジタル通帳への移行を年度内に終わらせたい事情があり、バタバタする3月末よりは2月末のほうがまし、というスケジュールありきの判断で、強行したのだろうと思います。

年度内に終わらせたかった事情はずばり「印紙税」でしょう。通帳1冊につき毎年200円の印紙税がかかります。毎年4月1日時点の通帳の冊数で印紙税の額が決まるので、それまでに紙の通帳を減らしておきたかったということだと思います。デジタル通帳への移行が年度をまたいでしまうと、何冊が課税対象か確定できない状態になってしまうので、それを避けたいというのもあったと推測します。

No.7129 印紙税の納付方法|国税庁

このシステム障害がおおごとになったのは、ATMがカードを飲み込んでしまったからだと思います。カードが返ってこなければ不安になり、返却されるまでATMから離れるのが怖いという心理が働くのは当然です。もしATMがカードをすぐにはき出していれば、ここまで不安な気持ちにならなかったでしょう。

預金者としてできることは、複数の銀行の口座を持つことです。あの日にどうしてもお金が入用なとき、別の銀行の口座を持っていれば、なんとかお金を手に入れられたでしょう。金利などがかかってしまいますが、クレジットカードのキャッシングも一つの手です。間違いは起きるものであり、起きても大丈夫なように対応力をつけることが、銀行にとっても預金者にとっても大切だと思います。個人投資家は複数の証券会社の口座を持つなどのリスク分散も必要でしょう。

最後に、四千億円もかけてシステムを刷新したのに、今回の障害が起きたのは残念です。システム部門出身者をみずほ銀行の頭取に据えるといった大胆な人事が必要かもしれません。