dice play

インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

森林関連株への投資 「iTrustティンバー」とWOOD ETFの比較

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ピクテ投信投資顧問は、世界の森林・木材関連の上場株式に投資する日本初のアクティブファンド「iTrustティンバー(愛称:木と環境と未来へ)」を設定します。2021年3月17日よりSBI証券楽天証券で募集を開始し、3月31日に運用を始めます。iTrustティンバーは、Pictet-Timberというルクセンブルグ籍ファンドに投資を行う、ファンド・オブ・ファンズ形式で運用します。

www.pictet.co.jp


このニュースを見てすぐに、WOODという米国ETFを思い出しました。WOODは「iシェアーズ グローバル・ティンバー&フォレストリー ETF」です。「木」だからティッカーがWOODです。覚えやすいですね。ベンチマークは「S&Pグローバル・ティンバー&フォレストリー指数」です。

www.blackrock.com

 

本記事ではPictet-Timber(iTrustティンバーの投資対象)とWOODを比べてみます。

 

 

価格推移

Pictet-TimberとWOOD、ついでにVT(全世界株式ETF)の価格の推移を下図に示します。

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Pictet-Timber, WOOD, VTの価格推移

いずれのファンドも分配金再投資後の価格で、米ドル建ての価格を円換算しています。Pictet-Timberの設定された2008年9月末を100としています。Pictet-Timberの基準価額は英国ピクテより、WOODとVTの市場価格は米国Yahoo Financeより、為替レートはみずほ銀行より取得しました。

Pictet-Timberが継続的にWOODをアウトパフォームしているようにみえます。また、2019年ごろを除きVTともよく連動しています。Pictet-TimberのFactsheetによれば、参考指数であるMSCI ACWI(全世界株価指数の一種)との相関係数は0.94となっています。相関係数は-1(逆相関)~+1(正相関)の範囲をとるので、Pictet-Timberは世界株式市場との連動性が極めて高いと言えます。

一年ごとにくぎった騰落率を下図に示します。図の「1年目」は2008年9月末~2009年9月末を意味します。Pictet-TimberがWOODに勝ったのは12回中6回でした。

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各年の騰落率の比較(Pictet-Timber, WOOD, VT)

 

 国別構成

国別構成(2021年2月26日現在)は下図の通りです。Pictet-TimberはWOODに比べアメリカの組入が多く、WOODはPictet-Timberに比べスウェーデンと日本の組入が多くなっています。Pictet-TimberもWOODも、VTと比べると、林業が盛んなカナダや北欧、ブラジルの組み入れが多いです。

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国別構成比の比較(Pictet-Timber, WOOD, VT)

 

上位組入銘柄

上位組入銘柄とその比率(2021年2月26日現在。単位:%)は下表の通りです。WOODの組入比率の多い順に銘柄が並んでいます。

Pictet-Timberの上位10銘柄はすべてWOODに組み入れられています。ただし、ウェイトは異なります。WOODの上位銘柄(Weyerhaeuserなど)の比率を少し下げて、下位銘柄(Canforなど)の比率を上げているように見えます。WOODの筆頭銘柄Svenska CellulosaがPictet-Timberではトップテンに入らないところにアクティブファンドらしさを出しているように思います。

(WOODの組入銘柄はすべてわかるのですが、Pictet-Timberは上位10銘柄しかわからないので、表内に「不明」と書いてあるセルがあります。)

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費用

「iTrustティンバー」の費用は、純資産総額の年率1.4348%相当(税込み)が上限となります。(うち、信託報酬が0.7898%(委託会社が0.33%、販売会社が0.44%、受託会社が0.0198%)、投資対象(Pictet-Timber Z JPY)が0.59%、信託事務に要する諸費用が0.055%)

なお、上記の分析で使ったピクテのファンドは「Pictet-Timber I USD」です。運用は同じですが費用が異なります。Ongoing charges(たぶん経費率のこと)は1.13%(うちManagement feeが0.80%)です。(Factsheetより)

したがって、「iTrustティンバー」は「Pictet-Timber I USD」に比べて0.3ポイント程度費用が高い分だけ、上に示したグラフよりパフォーマンスが落ちるだろうと思います。

一方、WOODの経費率は純資産総額の年率0.46%です。他に、証券会社が設定する売買手数料と為替手数料がかかります。

 

おわりに

株式投資に自然環境の要素を加味したい投資家にとっては「iTrustティンバー」も「iシェアーズ グローバル・ティンバー&フォレストリー ETF」(WOOD)も魅力的だと思います。スパイスとしてちょっとだけ買ってみたくなりました。

北欧などの森林国が多く組み入れられ、業種も偏っているのに、全世界株価指数と相関が高いのは面白いですね。


ちなみに3月26日18:30、29日19:00から「iTrustティンバー」設定記念オンラインセミナーを開催するらしいです。

iTrustティンバー


「東北投信」でWOODをわかりやすく紹介されていたのに触発されてこの記事を書きました。WOODについてもっと知りたければご覧ください。

blog.tacos-heaven.xyz

 

 

 

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