dice play

インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

金(ゴールド)へ投資する商品のまとめ

この記事には2022年4月時点の更新版があります。

dice.hatenadiary.jp

 

2020年9月12日に投信EXPO2020でモーニングスター朝倉社長が講演した動画を拝聴しました。

www.morningstar.co.jp

国債の利回りがほぼ0なので、社債や金(為替ヘッジ付き)もポートフォリオに含めると良いとおっしゃりました。背景には今年8月に金価格が歴史的な高値を更新したことがあるでしょう。
金については、ピクテ萩野社長やモーニングスター朝倉社長の動画が参考になると思います。

2020/09/17 円に替えて「金を持つ」、分散投資とリバランス戦略<萩野琢英>|Pictet GOLD Special Seminar
https://youtu.be/Kb-WEOu7p3g

「SMT ゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジあり)」三井住友トラスト・アセットマネジメント 朝倉智也のファンドの視点Vol.16
https://youtu.be/hmxDcVH50Qg

印象に残ったところをまとめてみました。

・金は古来より通貨として使われてきた歴史があり、かつて金と通貨は等価だったが、金本位制が崩れてからは紙幣をいくらでも刷れるようになったために、通貨の価値は金に対して下がってきた。
・歴史的な経緯から金は通貨に準じた存在とみなされ、為替取引と同様ボラティリティが高い。
・有事にはドルを売って金が買われる傾向がある。同時にドル安円高も進むことがあるので、為替ヘッジが有効。
・金は株式や債券との相関が低い傾向がある。


そこで、金に投資するファンドをまとめてみました。

 

為替ヘッジありファンド

 

銘柄

総経費率

信託報酬

その他費用

投資先ファンドの費用

投資先ファンド

設定年月

純資産

SMT ゴールドインデックス・オープン(H有)

0.55

0.28

0.02

0.25

IAU

2017-11

1,456

日興 ゴールドファンド(H有)

0.73

0.41

0.06

0.26

IAU&GLD

2017-07

7,266

iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(H有)

0.99

0.26

0.49

0.25

IAU

2018-04

109

ピクテ・ゴールド(H有)

0.78

0.54

0.01

0.23

ピクテ(スイス)のファンド

2011-12

58,729

ステートストリート・ゴールドファンド(H有)

0.91

0.49

0.02

0.40

GLD

2012-11

3,640

(注)

・銘柄名のH有は「為替ヘッジあり」のこと
モーニングスター及び各ファンドの交付運用報告書をもとに作成
・純資産の単位は百万円で、2020年10月末現在
・「投資先ファンド」のIAUiShares Gold Trust、GLDはSPDR Gold Sharesで、いずれも米国上場ETF
・ピクテゴールドの投資対象は正確には、Pictet (CH) Precious Metal Fund - Physical Gold


上記の表を見ると、純資産はピクテ・ゴールドがぶっちぎりに多いです。窓口や動画などを通じて積極的に情報を発信しているのが評価されているのかもしれません。

設定日が古いのはステートストリート・ゴールドファンドです。長い時系列のデータを見るのには適しています。ピクテ・ゴールドのほうが早く設定されているのですが、ピクテは当初公社債にも投資していたため、金の価格と違う動きをしていました。2016年8月よりほぼすべて金に投資しています。

信託報酬が最も安いのはiシェアーズですが、まだ新しいファンドで純資産が少ないので、「その他費用」が高くつき、総経費率が最も高くなっています。特に保管費用(海外における保管銀行等に支払う有価証券等の保管および資金の送金・資産の移転等に要する費用)が高いです。

いずれのファンドもETFなどに投資しています。投資先ファンドは金現物の裏付けがあり、集めた資産に見合う金を保管していることになります。

SMTと日興については運用報告書に投資先ファンドの運用管理費用が記載されておらず、透明性が低いです。他の3ファンドは投資先ファンドの費用が記載されています。比較をしやすくするため、上の表の総経費率には投資先ファンドの費用を上乗せしています。SMTと日興は形式的にはIAUとGLDの両方に投資することにしている一方、他の3ファンドは投資先ファンドが一つのみになっていることが関係していると思います。SMTは実質的にIAUにしか投資していません。SMTと日興については運用報告書にも投資先ファンドの運用管理費用を記載してもらいたいです。

総経費率が最も安いのはSMTです。

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為替ヘッジあり投資信託の基準価額推移

上の図は為替ヘッジありの金に投資するファンドの基準価額の推移です。ただし、ファンドにより設定日が異なるため、2020年10月末を10000としています。SSGAはステートストリートグローバルアドバイザーズの略です。いずれのファンドもほぼ同じ値動きになっています。

 

為替ヘッジなし投資信託

銘柄

総経費率

信託報酬

その他費用

投資先ファンドの費用

投資対象

設定

純資産

ファインゴールド

0.98

0.53%

0.00%

0.44%

金の果実

2011-02

439

ピクテ・ゴールド(H無)

0.81

0.53

0.06

0.22

ピクテ(スイス)のファンド

2019-09

56

日興 ゴールドファンド(H無)

0.75

0.41

0.08

0.26

IAU&GLD

2017-07

55

SMT ゴールドインデックス・オープン(H無)

0.86

0.27

0.19

0.40

GLD&IAU

2017-11

7

iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(H無)

0.56

 

0.26

0.06

0.25

IAU

2013-09

40

(注)

・銘柄名のH無は「為替ヘッジなし」のこと
・純資産の単位は億円で、2020年10月末現在
・日興、SMTの交付運用報告書には投資先ファンドの運用管理費用が記載されていないため、上記の表ではその費用を上乗せ

 

ファインゴールドは東証上場ETFである1540(愛称:金の果実)を買うだけのファンドです。投資信託の中では、iシェアーズが信託報酬も総経費率も最安です。為替ヘッジありと異なり、設定から7年経過していることから、その他の費用がかかりにくいのだと思います。

 

東証上場ETF

銘柄

総経費率

投資対象

設定

純資産

1326 SPDRゴールド・シェア

0.40%

現物

2008-06

81416

1328 NEXT FUNDS金価格連動型ETF

0.55

先物

2007-08

62

1540 金の果実

0.44

現物

2010-07

1322

1672 WisdomTree 金ETF

0.42

現物

2009-08

 

 

東証には4種類の金ETFが上場しています。いずれも値動きから為替ヘッジなしとわかります。

1326は次に紹介する米ドル建てETFの一つGLDと重複上場しています。GLDを円建てで買えますが、為替ヘッジはしていないので、ドル円の為替の影響を受けます。

1540は1kg以上に相当する口数(2020年10月末現在1,046口)を持つと、現物の金に交換できる面白い特徴を持つETFです。

1328は他のETFに比べて価格が下がりやすい構造になっています。これは、金の先物に投資しているため、期先物への乗り換えコスト(コンタンゴ)がかかるためです。

1672はマーケットメークの対象になっておらず、他のETFに比べ価格のぶれが激しいです。

従って東証ETF4銘柄の中では1326か1540が良いと思います。

ETF空売りができるというメリットがありますが、口数でしか買えず(金額を指定して買えず)、積み立てに対応していない証券会社があるというデメリットがあります。

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金に投資する東証ETFの価格の推移

 

米ドル建てETF

種類

銘柄

経費率

投資対象

設定

純資産

ETF

IAU iShares Gold Shares

0.25%

現物

2005-01

76

ETF

GLD SPDR Gold Trust

0.40

現物

2004-11

32

ETF

GLDM SPDR Gold MiniShares Trust

0.18

現物

2018-06

4

(注)

・純資産の単位は十億米ドルで、2020年10月末現在


SBI証券などで外国株式口座を開設すると、アメリカの市場に上場されている金のETFに投資できます。GLDMが経費率が最安です。価格は3つともほぼ変わりません。

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金に投資する米国ETFの価格推移

たいてい売買手数料が0.5%かかるので、数年以上持たないと国内の投資信託と比べて、トータルで割高になります。

 

金鉱株ETF

米国ETFで金を採掘する会社の株式に投資するGold Miners ETF (GDX)があります。ティッカーGDXはおそらくGolD eXploration(金の採掘)に由来するのだろうと思います。

金鉱株と金地金とで価格を比較した図は次の通りです。

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金鉱株ETFと金地金ETFの価格推移

金鉱株ETF(GDX)も金ETF(GLD)も2011年にいったんピークをつけ、以降低迷し2020年になって上がり基調というところは似ています。しかし、GLDは2020年に過去最高値を更新しましたが、GDXはそうなっていません。似たような値動きをしているようで、そうでもない感じです。GDXの上位10銘柄でGDXの6割を占めます。これら10銘柄は全世界株式ETFであるVTにもすべて含まれています。

 

その他

純金積立や先物取引といった投資の仕方もあるようです。もう力尽きたので、リンクだけ貼ります。金地金や先物取引所得税は株や投信と勝手が異なるので要注意です。

金投資にはどんな商品があるの?【知識ゼロからの投資・金投資入門講座】 | トウシル 楽天証券の投資情報メディア


純金積立だと買付手数料が2.16~2.70%かかる一方、保管費用はかからないようです。

モーニングスター [ 金関連商品検索結果 ]

 

まとめ

為替ヘッジあり投資信託なら「SMT ゴールドインデックス・オープン(H有)」の総経費率が安いです。運用が安定してくれば「iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(H有)」が将来最安になることもあるかもしれません。

東証ETFなら「SPDRゴールド・シェア」(1326)の総経費率が最安で、資産規模も大きく、昔から運用されています。

為替ヘッジなし投資信託なら「iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(H無)」の総経費率が安いです。

米国ETFなら「SPDR Gold MiniShares Trust」(GLDM)の総経費率がダントツに安いです。国内籍のETFや投信より安いものの、売買手数料が別途かかるため、長期で持つ覚悟が必要です。保有期間が1年以下だと、国内籍のETFや投信よりも手数料を払うはめになります。