dice play

インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

モーニングスターの「実質信託報酬等」と「実際の経費率」の違い

モーニングスターのウェブサイトでは、投資信託を横断的に検索することができます。様々なデータに裏打ちされたコラムや動画は読み応え、見応えがあります。

www.morningstar.co.jp

モーニングスターのPC版サイトで、個別の投資信託のページを開くと、「コスト」というタブがあります。このタブに表示される「実質信託報酬等」と「実際の経費率」の大小関係がファンドにより逆になることがあります。なぜこうしたことが起きるのか、私の理解を記します。まずは次の表をご覧ください。

 ファンド名

名目信託報酬

実質信託報酬

実際の経費率

iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(H有)

0.26%

0.51%

0.81%

EXE-i グローバル中小型株式ファンド

0.25

0.33

0.27

ニッセイ 外国株式インデックスファンド

0.10

0.10

0.17

出所:モーニングスター

iシェアーズ、EXE-iは株式や金の現物を直接買い付けるのではなく、ETFを買い付ける構造になっています。iシェアーズは「実際の経費率」が「実質信託報酬等」より大きく、EXE-iは逆に「実質信託報酬等」のほうが「実際の経費率」より大きくなっています。ニッセイはマザーファンドが直接株式を買い付ける構造で、マザーファンドに信託報酬はかからないので、「名目信託報酬」と「実質信託報酬等」が同じになります。

ファンドのコストは主に、

A. 信託報酬

B. 売買委託手数料、有価証券取引税、その他費用(保管費用など)
 …俗に「隠れコスト」と言われるもの

C. 投資先ファンドの信託報酬
 …ETFなどを買い付ける場合に発生

に分かれます。

AとBは交付運用報告書の「1万口あたりの費用明細」という表の「比率」欄に、Cは交付運用報告書の「総経費率」という円グラフに記載されています。AとCは通常、交付目論見書にも記載されています。Bは事後的にしかわからないので、目論見書には書かれていません。例として、「iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジあり)」の交付運用報告書から図表を引用します。

 

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1万口あたりの費用明細(iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジあり))

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総経費率(iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジあり))



モーニングスターの「名目信託報酬」はA、「実質信託報酬等」はA+C、「実際の経費率」はA+Bを表します。B(ファンドの隠れコスト)とC(投資先ファンドの費用)の大小関係が個々のファンドにより異なるため、「実際の経費率」と「実質信託報酬等」の大小関係がファンドにより異なるわけです。

すべての費用が知りたければ、モーニングスターのページで得られる情報から次の式を使って計算する必要があります。

(実際の経費率)+(実質信託報酬等)ー(名目信託報酬)

※「名目信託報酬」を引き算するのは、「実際の経費率」と「実質信託報酬等」両方に「名目信託報酬」が含まれるため。

なお、交付運用報告書の「総経費率」のグラフには、報告書の注記にあるように、売買委託手数料と有価証券取引税を含みません。

すべての費用がコミコミの数字があるとよいのですが、残念ながら現実にはそうなっていません。

まとめ

話がややこしくなったので図解しました。

 

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投資信託の費用の記載

この記事を書くために少し調べてみて、投資信託について知らないことは山ほどあるなと実感しました。先に記した計算式により、把握できるほとんどのコストを含めた値が求められると思いますが、まだ知らないコストが他にあるかもしれません。