dice play

インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

特定口座で含み益があっても、売却してNISA口座で買い直したほうがお得らしい

 

一般NISAとつみたてNISAが2024年に衣替えするそうです。

toyokeizai.net

2023年の国会で法案が成立すれば施行されます。
Twitterではシン・NISA*1とか岸田NISAとか言われています。

さて、特定口座で持っている銘柄に含み益がある場合、それを売ってNISA口座で買い直すと課税されてしまうので、特定口座で持ちっぱなしにするのがいいという投資アイディアを見かけます。私はその主張に特段違和感を持っていませんでした。
しかし、実はそうではないと河童さんとニューロンズさん(理系の錬金術師さん)が指摘しています。

secrets2mysuccess.net

www.spin-orbit.com

 

自分でも数式をいじって、確かにそうだとわかったので、メモしておきます。
数式をゴリゴリ使う、とてもわかりにくい説明をします。

 

目次

 

記号の説明

数式で使う記号は次の通りです。

x: 投資元本
e: 現時点の利益
r: t年間のリターン(年率換算)
t: 将来の売却までの投資年数
s: 税率(20.315%)
上付き文字でtと書いてあるのは、t乗(t回かけ算する)を表します。

 

特定口座で持っている銘柄を売却せず、持ちっぱなしの場合

特定口座で持ちっぱなしの場合、今は課税されず、t年後の売却時に課税されます。税率は今と変わらないとします。また、売買手数料はかからないとします。

課税前の売却額をaとすると、以下の式で表されます。
a=(x+e)*(1+r)t
投資元本xと今の含み益eを合わせた額が、t年間、年率r%で運用されるとこうなります。

課税後の売却額をAとすると、以下の式で表されます。
A=a-(a-x)*s
利益(評価額aと元本xとの差)に課税されるという意味です。

 

売却してNISA口座に乗り換える場合

今、含み益eが確定して税率sで課税されます。元本と税引き後の利益をNISA口座で運用し、年率リターンがr%だったとします。t年後にNISA口座で売却するときには課税されません。

売却額をBとすると、以下の式で表されます。
B={x+e*(1-s)}*(1+r)t

 

両者の比較

BからAを引いた値がプラスであれば、特定口座で持ちっぱなしにするよりは、今課税されてもNISA口座で買い直したほうが有利になります。

B-Aを計算すると、以下の式で表されます。
B-A={(1+r)t -1}*x*s

rがプラスであれば、B-Aがプラスになります。
株式の期待リターンは普通プラスを想定します(一般的には5%程度)ので、rもプラスを期待したいところです。

rにマイナスを想定するなら、NISAで買い直さないほうがいいことになります。期待を裏切られて、結果的にマイナスになる可能性は否定できません。

 

上の式(B-A)を言葉で書き直すとこうなります。

(特定口座で持ちっぱなしと比べた、NISA口座で買い直すことによる利益)
={(1+年率リターン)今後の投資年数-1}*投資元本*税率

 

B-Aの式に今の含み益eが入ってこないのが興味深いですね。
今の含み益がいくらであろうと、NISA口座で買い直したほうがお得となります。
非課税口座ってすごいですね。

例えば、年率リターンrが4%、今後の保有期間tが10年、投資元本xが100万円、税率sが20.315%とすると、今課税されてもNISA口座で買い直したほうが、10万円(=B-A)お得になります。

下図は、上の例に今の含み益eが10万円という条件を加えた場合の資産額の推移を示します。NISA口座で買い直した場合、NISA口座で運用している間は特定口座で持ちっぱなしの場合に比べて資産額が少ないですが、売却時点で大小関係が逆転します。

特定口座で持ちっぱなしの場合とNISA口座で買い直す場合の資産額の推移

「課税の繰り延べ効果」は特定口座の中で別の商品に乗り換える場合には気にする必要があると思いますが、税率が大きく異なる特定口座(税率20.315%)からNISA口座(税率0%)への乗り換えには当てはまらないということです。

そして、これを発見したニューロンズさんに敬意を表します。
この記事はニューロンズさんの記事を小難しくしたに過ぎません。

 

 

 

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*1:映画「シン・ゴジラ」になぞらえて