執筆後、一つ重要な視点を見落としていることに気づいたので、改めて記事にします。
10年以上前と古い日経の記事ですが、内容は陳腐化していないと思います。引用します。
新興国の経済が成長しても、そこで利益をあげているのが先進国の企業であれば、新興国でなく先進国の時価総額が大きくなる。そう考えると、投資比率はGDPベースでなく、時価総額比率であるべきだ
そうすると国内総生産(GDP)よりは国民総所得(GNI)のほうが適切な指標かと思えてきました。
GDPは国内の企業の利益(外資系企業を含む)、GNIは日系企業の利益(日系企業の海外拠点も含むが、外資系企業の日本拠点は除く)と捉えています。
GDP、GNI、上場企業利益、時価総額を日本、先進国(日本を除く)、新興国に分けて表した図を示します。
図の作成方法
図の作成方法に興味がなければ次のセクションに飛ばしてかまいません。
ただ、前提条件がいい加減だとどんな結論でも導き出せる(by 高橋洋一氏)らしいので、ご留意ください。
GDPとGNIは世界銀行から。名目米ドルで、2019年の値です。
時価総額はmyINDEXより。2019年12月現在。
世界各国のPER・PBR・時価総額 (2019年12月) - myINDEX
利益は、時価総額を株価収益率(PER)で割って求めました。PERはmyINDEXより。
先進国は以下の通りとしました。
日本、米国、英国、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、香港、アイルランド、イタリア、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、イスラエル
新興国は以下の通りとしました。
ギリシャ、中国、インド、ブラジル、ロシア、チリ、コロンビア、チェコ、エジプト、ハンガリー、インドネシア、マレーシア、メキシコ、パキスタン、フィリピン、ポーランド、南アフリカ、韓国、タイ、トルコ
※ペルー、台湾、カタール、UAEはデータ不足により対象外
図の解釈
この図をみると、GDPとGNIで比率にさほど差は見られません。先進国の比率はGNIのほうがGDPより若干大きくなります。新興国の比率は4割弱です。
一方、利益とGNIは大きな違いがあり、利益に占める新興国の比率は1割ちょっとと激減します。これは前回説明したように、企業がどれだけ上場しているか、株式市場がどれだけ開放されているかを表していると思います。
さらに時価総額と利益を比べると、新興国の比率は時価総額ベースのほうが利益ベースより下がります。時価総額と利益のグラフの違いは株価収益率(PER)の違いを表しています。海外先進国は新興国よりPERが高いということです。
結論
国別の株式時価総額と国民総所得(GNI)に関係はほとんどないというのが本記事の結論です。
つまり、企業の海外展開の程度よりは株式市場の開放の程度の方が、株式時価総額の国別比率への影響が大きいと考えられます。
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