dice play

インデックスファンド、米国ETFを中心に、日米の個別株にもちょこちょこ投資(サイコロ遊び)をしています。

東証再編でTOPIXはどうなるか

2022年4月に東証の株式市場が再編され、これに伴いTOPIX東証株価指数)が変わります。2月26日までパブリックコメント(意見公募)・コンサルテーション(協議)がありました。まだ確定ではありませんが、現時点の案に基づき、TOPIXがどう変わりそうか見てみます。

 

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東証のイメージ(提供:いらすとや)


 

市場再編の概要

現在の案は日本取引所グループ(JPX)のこちらのページに公開されています。

www.jpx.co.jp

現在東証の株式市場は、第一部、第二部、マザーズJASDAQスタンダード、JASDAQグロースの5種類に分かれています。第一部が時価総額の約96%を占めています。
これが、プライム、スタンダード、グロースの3市場に再編されます。
各企業はどの市場に入るかを2021年内に申請します。
市場ごとに上場の基準がありますが、当分の間、経過措置(少しゆるい基準)が適用されます。
「当分の間」がいつまでなのかは未定です。
経過措置が終わると、遅くとも1年以内に本来の基準を満たす必要があります。
基準を満たせないと、上場廃止か、別の市場への上場を申請して審査を受ける必要があります。(これまでは一部から二部への降格がありましたが、今後はなくなります。)

 

TOPIXの主な変更点

指数コンサルテーション(すでに終了)の資料からTOPIXの主な変更点を要約します。

www.jpx.co.jp

2022年4月時点では旧一部上場企業が組み入れられます。(プライム市場以外を選択した企業も組み入れられます。)
政策保有株(持ち合い株)は指数のウェイトの計算から除外されます。
流通株式(役員の持ち分などに加えて持ち合い株を除いた株数)の時価総額が100億円未満の企業は2022年10月から2025年1月までに段階的に除外されます。
除外によるウェイトへの影響は1%未満の見込みです。
2022年4月から2025年1月の間にプライム市場に新たに上場した企業はTOPIXに組み入れられ、プライム市場から退出した企業はTOPIXから除外されます。
その先のことは改めて発表される予定です。

 

プライム、スタンダード、グロースの各市場の指数が新設されます。

東証マザーズ指数」の後継として「東証グロース250指数」が、
JASDAQ-TOP20指数」の後継として「東証スタンダードTOP20指数」が新設されます。
おそらく、「東証マザーズETF」(2516)と「JASDAQ-TOP20ETF」(1551)のための指数と思います。

 

指数変更の影響

山崎元さんは、銘柄やウェイトの変更によりインデックス投資家に不利益が生じる可能性を指摘しています。

media.rakuten-sec.net

 

私見

東証は市場再編がTOPIXに及ぼす影響を最小化するよう慎重を期したことが伺えます。しかし、素人目にはずいぶんややこしいことになるなという印象です。

まず、「東証グロース250指数」と「東証スタンダードTOP20指数」についてですが、250社、20社に限らず、グロース市場、スタンダード市場全体に投資できるほうが好ましいです。

次に、TOPIXですが、移行期間が終わった2025年2月以降の姿が読めません。グロース市場とスタンダード市場の銘柄を外す方向か、逆にすべての銘柄(監理銘柄など問題のある銘柄を除く)を含める方向に進まざるをえないだろうと思います。そうでないと、グロース市場とスタンダード市場に上場している銘柄がまだらにTOPIXに含まれてしまい、TOPIXに含める銘柄の線引きがあいまいになります。プライム市場の規模が東証一部と比べて大きく異なると、グロース市場とスタンダード市場の銘柄を外した場合、指数の構成は大きく変わるでしょう。

プライム市場ETF、スタンダード市場ETF、グロース市場ETF、3市場全体のETFというふうに、4種類のETFができると美しいです。マザーズ先物ができたことにより「東証マザーズETF」(2516)の立ち上げが可能になったという経緯*1を踏まえると、必要に応じてETF組成のために市場別の先物ができるとよいと思います。

MSCI Japan指数(時価総額上位85%の銘柄が対象)は市場うんぬんの影響を受けないので、かえって好ましいかもしれません。現状この指数に連動するETFアメリカに上場しているEWJしかありません。ブラックロックがEWJを東証にも重複上場してくれるとありがたいのですが。
東証に「上場インデックスファンド日本株式(MSCIジャパン)」がありましたが、無念にも繰上償還されました。*2 どこか別の投信会社がチャレンジしてくれるとありがたいのですが。

市場再編によりTOPIXにきれいに整わない面が生じるのが気になりますが、保守的な投資家は引き続きTOPIXを支持することでしょう。