FXのトータルリターン
昨日の日経にこんな記事がありました。
理論的な話は山崎元氏の解説記事をご覧ください。
これは債券だけでなくスワップ狙いのFXでも起きうることが指摘されています。
この記事では、この説をデータで確認できるかやってみようというものです。
個人ブログの特性上、正確性や品質には限界があること、本記事を参考に投資して損失が出ても責任は負いません。
まずはドル円の結果をご覧ください。
このグラフは2005年末に1万ドルを買い付け、2018年末まで持ち続けた場合の各年の損益と累計の損益を表します。
もし先の説が成り立てば、トータルリターンは0に近くなるはずです。
試算に使用したのはくりっく365のヒストリカルデータベースです。
図の「スワップポイント」は1取引単位(米ドルなら1万ドル)に対して日々支払われるスワップポイントを1年間合計した値です。
図の「為替差損益」は次式で計算した値です。
{(ある年の年末の精算価格)-(その前年の年末の精算価格)}×(取引単位)
図の「トータルリターン」は上記「スワップポイント」と「為替差損益」を足した値です。
縦軸の正の値は利益、負の値は損失を表します。
横軸のSUMは2006年から2018年の合計を表します。
例えば、2008暦年はスワップで数万円の利益が出たものの、為替変動で20万円を超える損失が出て、結局20万円弱の損失になったことを表します。
13年分の合計スワップポイントがやけに多い印象がありますが、たぶん目の錯覚と思います。(計算ミスでしたらすみません。)
ドル円は2008年から2014年までは為替によりトータルリターンが大きく振れ、2015年からは2018年までは理屈通りスワップの利益を為替損失でほぼ相殺しています。
つぎにユーロ/円を見てみます。
単年のトータルリターンの動きは為替変動にほぼ左右されるものの、13年の累計ではほぼ0になり、長期的には理屈通りといえそうです。
どんどん見ていきましょう。次は英ポンド/円です。
英ポンド/円は2008年の為替差損を2018年末まで引きずっていることが読み取れます。
豪ドル/円は、長期で見るとスワップポイントの利益が得られたことが読み取れます。
スイスフラン/円は、為替変動で損益がほぼ決まることが読み取れます。
カナダドル/円は、単年では為替に左右されるものの長期ではトータルリターンがほぼ0になったことが読み取れます。
ニュージーランド/円は、長期ではスワップポイントの利益が得られたことが読み取れます。
南アフリカランド/円は、2008年10月上場ですが、本記事では2008年末からの計算になります。長期ではスワップポイントの利益が得られたことが読み取れます。
最近話題のトルコリラ/円は、スワップポイントの利益より為替差損のほうが大きいです。
ノルウェークローネ/円は、単年では為替に左右されるものの長期ではスワップポイントの利益が得られたことが読み取れます。
スウェーデンクローナ/円は、単年でも長期でも為替に左右されることが読み取れます。
香港ドル/円は、単年でも長期でも為替に左右されることが読み取れます。
ポーランドズロチ/円単年では為替に左右されるものの長期ではスワップポイントの利益が得られたことが読み取れます。
メキシコペソ/円は、取引所に上場して間もないので1年分しかデータがありません。2018年はスワップポイントの利益が為替差損より多かったようです。
最後に、13年分のデータを集めても理屈通りに動かないことが往々にしてあるという、まとめになっていないまとめとさせていただきます。